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若者の雇用創出と地方消滅への対処、農業起業や帰農に答えあり

若者の雇用創出と地方消滅への対処、農業起業や帰農に答えあり

Posted September. 01, 2023 08:33,   

Updated September. 01, 2023 08:38

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39歳のオ・ジャンフンさんは、済州西帰浦市(チェジュ・ソグィポシ)にある「ホームラン農場」の代表だ。プロ野球の2軍で10年間プレーして、ホームラン王や打点王に輝いたが、2017年に帰郷して父親のミカン農場を受け継いだ。単に家業だけを受け継いだのではない。必要な分だけ水や肥料を供給するスマート農法を導入してコストを下げ、オンライン直取引のチャンネルを作って売上は2倍に増やした。オ代表は、「努力に見合う成果が出る農業は、幸せな仕事だ」と話した。

オさんのように、故郷に帰った若い農業者たちが、農村を底から変えている。特に情報通信(IT)技術や先端農法に精通した若者たちは、「農業企業家」に変身している。帰農経験や営農知識を他の若者に伝授し、スマートファームの設備を開発して普及する人も多い。

急速な高齢化や少子化で、消滅の危機を迎えた地方消滅の問題を解決する鍵も、農村に戻る若者層が握っている。伝統的な農業の代わりに試みなかった新しい作物を育て、「フードテック」企業を起業して地域社会に不足した良質の若者雇用を創出するためだ。国産キャンベルブドウではちみつ酒を作る「ブズアンドバーズ」、慶尚北道聞慶市(キョンサンブクド・ムンギョンシ)で直接栽培したリンゴと有機材料で手作りデザートを生産する「ムンギョンハル」等が良い例だ。地元農産物を活用したユニークな加工食品は、故郷愛寄付制(日本のふるさと納税)の返礼品としても脚光を浴びている。

挑戦的な若者農民が多くなり、「Kフード」に対する海外の注目が高まり、代表的な内需産業だった農業は輸出産業に生まれ変わっている。韓国産イチゴやステビアトマトは、中東や東南アジアで最高級の輸入果物として扱われる。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などには、韓国の若者農業企業が開発したスマートファーム工場が輸出されている。毎年10%ずつ成長するグローバルスマートファーム市場は、2025年には29兆ウォンの規模へと拡大する見通しだ。ビニールハウスにIT、ロボット技術を融合させた韓国のスマートファーム技術は、コストパフォーマンスがよく、先進国に比べても競争力が高いという評価だ。

約30年間、中国の特需に支えられた製造業の輸出で成長してきた韓国経済は、今やグローバルサプライチェーンの再編と中国の低迷といった巨大な挑戦を迎えている。レベルの高いIT技術と結合した生産的農業、最高品質の農産物および加工食品の輸出は、このような状況を突破する起爆剤になりうる。若者たちが開いていく農村・地域社会の革新に、政府と地方自治体はいかなる支援も惜しんではならない。