Go to contents

美しい和解

Posted June. 29, 2023 08:28,   

Updated June. 29, 2023 08:28

한국어

スペインのフェリペ4世の宮廷画家だったディエゴ・ベラスケスは、生涯人物画を主に描いた。36歳の時に最初で最後の歴史画を描いたが、その絵が17世紀最も重要な歴史画とされる「ブレダの降伏(1634~35・写真)」だ。

絵は「80年戦争」と呼ばれるオランダ独立戦争の後半に起こった出来事を背景にしている。スペイン軍が反乱を起こしたオランダのブレダの軍隊を降伏させる場面を描いている。1625年6月5日、ブレダのオランダ総督ユスティヌス・ファン・ナッサウは、スペインの将軍アンブロジオ・スピノラに都市の鍵を渡して降伏する。馬がいるスペイン軍は兵力も多く、武器もある。一方、敗者であるオランダの兵士たちは疲れた様子で、ほとんどの武器は捨てられたか、破壊されている。画家は、暴力が横行する戦争そのものではなく、和解に焦点を当てて描いた。戦争画なのに静的でロマンチックに見える理由だ。では、直接参戦していない画家は、どのようにしてこの場面をここまで鮮明に描写できたのだろうか。

ベラスケスは、イタリア旅行から戻った直後にこの絵を描いたが、旅行に同行したのがスピノラ将軍だった。つまり、将軍から聞いた話をもとに描いたのだ。実際、スピノラは馬から降りて敗れた総督を親切に迎えて抱きしめただけでなく、敬礼して長年の守備の勇気と忍耐を称賛したという。また、敗れたオランダ人を嘲笑したり、虐待したりすることを厳しく禁じた。スピノラがオランダ軍に示した寛容さは、画家の筆によって永遠に画幅に刻まれた。

実は、この絵はフェリペ4世の命令で宮殿を飾るために描かれた。つまり、スペインの軍事的成果を美化するために制作された一種のプロパガンダなのだ。画家は確かに美しい和解の場面を強調して描いているが、背景にある煙が立ち込める燃える村が目に飛び込んでくる。戦争で美しい和解というものが果たして可能なのかが問い返される。