ＭＳの検索ＡＩにＧＰＴ－４搭載、グーグルは韓国語・日本語対応のＡＩでで対抗

米マイクロソフト（ＭＳ）が対話型ＡＩ（人工知能）検索エンジン「Ｂｉｎｇ」を公開した６日後に、米グーグルがＡＩサービスを大々的に公開し、ビッグテック企業のＡＩサービス競争が本格化している。一般ユーザーがよく使用する電子メールや文書作成などにＡＩが導入され、業務環境や雇用状況にＡＩが与える影響も急速に可視化する見通しだ。

●韓国語が適用された「Ｂａｒｄ」を一般公開

グーグルは１０日（現地時間）、韓国語を含む１００の言語をサポートし、推論とコーディング（プログラム実装作業）能力を強化した大規模言語モデル（ＬＬＭ）ベースの新たなＡＩサービスを公開した。グーグルは、カリフォルニア州マウンテンビューにあるショアライン・アンフィシアターで開かれた開発者向けの年次イベント「Ｉ／Ｏ ２０２３」で、対話型ＡＩサービス「Ｂａｒｄ」を１８０ヵ国に公開すると明らかにした。米国や英国、韓国など一部の地域で事前登録手続きを経て使用できたサービスをすべてのユーザーに完全に開放したのだ。

新たに公開されたＢａｒｄの特徴は、英語に続いて２つ目のサービス言語として韓国語と日本語を提供したことだ。グーグルが他の言語に先立って韓国語サービスを公開した理由は、公式には明らかにしていないものの、関連業界では韓国語検索市場の高い成長性を念頭に置いたと見ている。グーグルは今後、英語、韓国語、日本語以外にも４０の言語のＢａｒｄサービスを提供する予定だ。

グーグルは対話型ＡＩサービス市場では後発組だ。オープンＡＩと協業し、迅速に生活密着型ＡＩサービスを公開しているＭＳに比べて公開時期が遅く、グーグル内部でも検索市場１位の座をＭＳのＢｉｎｇに奪われかねないと懸念している。

グーグルのライバルであるＭＳは４日、チャットＧＰＴ開発会社であるオープンＡＩのＬＬＭ「ＧＰＴ－４」を適用した対話型ＡＩ検索エンジン「Ｂｉｎｇ」を公開した。ＭＳによると、Ｂｉｎｇの世界での１日平均利用者数は１億人を超えた。

グーグルがＢａｒｄを電撃公開し、検索市場の主導権争いが一層激しくなるものと予想される。ＭＳは検索市場でシェアを１ポイント上げるたびに２０億ドル（約２兆６５７０億ウォン）の売上が発生すると予想した。市場調査会社スタットカウンターによると、先月基準、検索市場でグーグルのシェアは９２.６１％で、２位のＢｉｎｇ（２.７９％）と差が開いている。

今回の開発者向けイベントでは、グーグルの最新ＬＬＭ「ＰａｌＭ２」も公開された。グーグルはＢａｒｄの基盤となるＬＬＭを「ＬａＭＤＡ」からＰａｌＭ２に置き換える計画だ。ＰａｌＭ２は学習パラメータが５４００億個で、既存のＬａＭＤＡ（１３７０億）の３倍以上。グーグルは、ＰａｌＭ２が他のＬＬＭと差別化される点として、多言語能力と高度な数学、推論、コーディング機能に特化した点を挙げている。

グーグル最高経営責任者（ＣＥＯ）のスンダル・ピチャイ氏は、本社職員がソウルで働く開発者にプログラム言語の修正事項を英語で伝えても韓国語に翻訳されることを代表的な事例として提示した。現場で公開された映像では、複雑なプログラム開発言語の過程も自然に韓国語に変換された。グーグルが、難しいコーディング言語と学習データが不十分な韓国語もＡＩ技術で十分に処理できることを伝えようとしたとみられる。

●親しみやすいサービスでＡＩとユーザーの距離を近づける

グーグルは、Gmail、Google Docs（文書作成）、Googleフォト（写真編集）など一般ユーザーがよく使うサービスにも生成型ＡＩ技術を適用したと発表した。各国の政府や学界でＡＩがもたらし得る暗い未来への観測が強まる中、日常や業務でＡＩを簡単に使用できるサービスを公開し、距離を縮める狙いがあるとみられる。

同日のイベントでは、プレゼンテーションやスプレッドシートを作成する際、ＡＩの助けを借りて草稿を作成したり、写真を簡単に修正するサービスが大挙公開された。まだ開発段階の次世代ＬＬＭ「ジェミニ（Gemini）」も披露された。ジェミニは、文章だけでなく、画像や音声など様々な形のデータを学習して生成できることが特徴だ。

ピチャイ氏は、「ＡＩ業界は非常に忙しい１年を迎えた。私たちは転換点にいる」とし、「この技術がもたらす変化は非常に大きいと確信している」と話した。

これに先立ち、ＭＳは３月にオフィスプログラムにＡＩを組み込んだ「ＭＳ３６５コパイロット（副操縦士）」という名称のサービスを公開した。ＡＩ技術でユーザーが望むパワーポイント（ＰＰＴ）や文書を作成するといったサービスだ。


マウンテンビュー＝ナム・ヘジョン記者　チ・ミング記者 namduck2@donga.com · warum@donga.com