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「AIが校内暴力を感知して警察に通報」、学校と教師の居場所はあるか

「AIが校内暴力を感知して警察に通報」、学校と教師の居場所はあるか

Posted May. 10, 2023 08:47,   

Updated May. 10, 2023 08:47

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教育部は、学校暴力など校内犯罪と事故を予防するため、人工知能(AI)を活用した管制システムを構築すると、昨日明らかにした。AIを利用して訪問客が承認されなかった区域に移動できないよう、リアルタイムで動線を管理し、災害発生時の対応速度も高めるという。校内暴力と関連しては、トイレで子供たちが悪口を言いながら他の児童生徒を殴れば、音声センサーが感知し、学校の関係者と学校担の当警察官に知らせて出動するようにする。

校内暴力は、被害児童生徒に一生消し難い傷を負わせる深刻な問題だ。だが、校内暴力予防および加害者の先導・懲戒は、AIや警察ではなく、学校と教師を中心に教育的側面を考慮しながら行われなければならない。学校は、児童生徒たちが最も安全でなければならない空間であると同時に、教育的価値が最優先されなければならない現場であるからだ。児童生徒たちをAIで監視し、暴力を行使できないようにするのではなく、そうしてはならないという点を悟らせて改善するよう教えるのが学校の役割だ。教育当局が、難しい校内暴力問題を「学校外」に押し付け、責任を回避しようとしているのではないかと疑わしい。

AIシステムが、校内暴力防止に実効性があるかも疑問だ。かつては、校内暴力は主に物理的に他の児童生徒を殴ることだったが、最近は密かに被害者の情緒を虐待する方向に変わっている。今や校内暴力の形態の中で、言語・サイバー暴力が身体暴力より多いのが現状だ。校内暴力が起きる場所も、校内よりは校外の方が多い。AIの目が届かないところだ。学校内のAIシステムが強化されるほど、学校外やオンライン上での暴力が増える「風船効果」につながる可能性は十分ある。

児童生徒たちの人権侵害も、心配せざるを得ない。このシステムが導入されれば、児童生徒の登・下校時間と現在位置などを教師と保護者がリアルタイムで確認できるようになる。児童生徒が階段で走っていて滑りそうになったことが起きれば、AIが児童生徒に注意を促すメッセージを送る。児童生徒たちとしては一挙手一投足を監視される「ビッグブラザー」体制に生きるという感じを受けざるを得ない。このような情報が外部に流出すれば、深刻なプライバシーの侵害につながるだろう。学校は、児童生徒たちに自主性を備えた一人の市民としての素養を積むよう教える所だ。見せかけ流の校内暴力の摘発と処罰だけに埋没し、教育の本分を失う愚を犯してはならない。