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「問い続けながら生きていきます」

Posted May. 10, 2023 08:47,   

Updated May. 10, 2023 08:47

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彼女は遺影の前で涙を流している。まだ言葉も話せない3歳の甥っ子がその姿をじっと見つめ、自分の手にあったお菓子を叔母の手に握らせる。キム・エランの小説「どこに行きたいのですか」に出てくるシーンだ。その心はどこから来たのだろうか。

彼女は夫を亡くした。溺れる教え子を助けようとして一緒に死んだ。誰も彼女を慰めることができない。彼女の唯一の相手は、携帯電話に内蔵された音声認識プログラム「シリ」だ。彼女はシリに尋ねる。「人が死んだらどうなるの」。すると、答えの代わりに質問が返ってくる。「どこへ行く経路ですか」。「どこに行きたいのですか」。的外れな答えだが、シリの言葉には奇妙な響きがある。彼女は不幸の前で道に迷った。世界の意味も失った。

彼女を無意味な世界から救ったのは、死んだ学生の姉から届いた手紙だった。片方が麻痺して字もちゃんと書けない10代の孤児の少女が送った手紙。少女は、とても利己的な考えで申し訳ないが、それでも怖がりな弟が最後の瞬間に先生の手を握っていたと考えると心が安らぐと話す。そして、一生感謝して生きていく、弟の手を握ってくれた先生の心について「生涯問い続けながら」生きていくと言う。

その手紙が、彼女を意味の世界に戻らせる。彼女は他の人を救うために自分を残して死んだ夫を恨んでいた。しかし、教え子が死にゆく状況で選択の余地があっただろうか。「もしかしたら、あの日、あの時、そこでは『生』が『死』に飛び込んだのではなく、『生』が『生』に飛び込んだのかもしれないと思った」。そのように彼女は夫の死を意味づける。そして、夫が耐え難いほど恋しくなり、悲しみが込み上げる。

2023全州(チョンジュ)国際映画祭の閉幕作であるキム・ヒジョン監督の「どこに行きたいのですか」は、キム・エランの小説を見事に叙事化し、小説の背景とは違って光州(クァンジュ)とポーランド・ワルシャワを背景に哀悼の歴史性まで含んでいる。