Go to contents

弟子の心の中に生きる師

Posted May. 01, 2023 08:57,   

Updated May. 01, 2023 08:57

한국어

「私は死んでもジュファンの心の中で生きる」(柳基龍「芸農一如の生涯~大笒の名人ハン・ジュファン先生を偲ぶ」)

大笒(テグム)奏者のパク・ジョンギ名人(1879~1941)が臨終の際に残した言葉だ。自分は死んでも弟子の心の中で生きるという師の心はどのようなものか。生涯をかけた音楽を弟子に伝えることができ、彼はおそらく幸せだっただろう。生まれながらの芸術家の資質に誠実さまで備えたパク・ジョンギ名人は、生涯にわたる音楽の経験から大笒散調を創始し、困難な時代を歩んできた。そして自分が作った散調を弟子のハン・ジュファン(1904~1963)名人に伝授した。

今も昔も、演奏家にとって散調は特別な音楽だ。没入の世界を経験させ、深い落とし穴に追い込み、挫折させることもある。困難な生活に耐えるよう演奏家の人生を縛り付けることもある。このような散調の力は、その音楽の中に伝わってくる先代の演奏家の喜怒哀楽が私の人生に重なるからだ。遅いチンヤン調長短からチュンモリ、チュンチュンモリ、ジャジンモリとだんだん速くなっていく構成は、人の一生に似ている。さらに、各楽章で繰り広げられる調の変化は、楽節ごとに新たな物語を紡いでいく。パク・ジョンギ名人の大笒散調は、ハン・ジュファン名人に至って枠が整い、その弟子たちの個性が加わり、師と弟子の琴道は異なる流派を生み出し、豊かになった。

この春、私は久しぶりにハン・ジュファン流の大笒散調を上演した。ハン・ジュファンンの演奏は力強く、強烈だ。哀愁漂う旋律の中で竹が割れるようなエネルギーが爆発する声音は、20代の私を魅了した。晩年のハン・ジュファン名人より年を取った今でも、私は名人の声音を追いかけている。師匠の心を汲み取り、弟子も自分の心を加え、時間が重なり合う音楽、散調!だから演奏家は死んでもその音楽の中で生き続ける。