Go to contents

一人では大変でも

Posted April. 27, 2023 08:28,   

Updated April. 27, 2023 08:28

한국어

若く美しい3人の女性が暗い岩陰に隠れている。ナイフを持った左の女性は、真ん中の女性と共に緊張した表情で外の様子をうかがっている。右の女性は怪我をしたのか、苦しそうな様子だ。いったい彼女たちは誰で、何のためにこのようなことをしているのだろうか。

ジェームス・サントは、英ビクトリア時代に活躍した最も成功した肖像画家の一人だ。20歳で王立アカデミーに入学した後、生涯アカデミー展に参加し、名声を築いた。51歳でビクトリア女王の首席宮廷画家に任命された後、94歳までなんと43年間もその座を守った。歴史画にも挑戦したが、子どもや女性を描いた肖像画で最も人気を博した。寓話的なテーマもよく描いており、この絵「勇気、不安と絶望:戦いを見て」(1850年頃・写真)も特定のモデルを描いたのではなく、3つの心の状態を寓意的に表現したものだ。

3人の女性は今、岩陰に隠れて外で繰り広げられている戦いを見守っている。左の剣を持った女性は勇気を象徴している。先頭で仲間を率いて戦いに出陣する構えだ。真ん中の女性は恐怖を象徴している。不安と恐怖で積極的に前に出ることができない。右の女性は、身動きが取れないほど負傷している。絶望の象徴だ。異なる態度を見せるが、絵の中の女性たちは三つ子のように似ている。もしかしたら、一人の人間の内面にある3つの心の状態を同時に示しているのかもしれない。勇気を出したいが、恐怖で躊躇し、絶望感と敗北感で何もできない状態。

勇気とは、恐怖に立ち向かって困難なことをやり遂げる強靭な気力だ。一人では辛くても、連帯すればその力は倍増する。絵の中の勇気は絶望の手をしっかりと握っている。倒れていく仲間を決して見捨てないという意思表示だ。たった一人でも手を握ってくれる人がいれば、絶望はそう簡単には来ない。画家が伝えるメッセージもまさにこのようなことではないだろうか。