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懺悔と芸術

Posted April. 20, 2023 08:20,   

Updated April. 20, 2023 08:20

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漆黒の闇の中で、白髪の老人がハープを弾いている。髪の毛とひげは白く、額と手には歳月のしわが深く刻まれているが、なぜか品格が感じられる。世の中の万事を超越したようで、遠くを見つめながら演奏に没頭しているこの老人は誰で、彼はなぜ闇の中で一人でハープ(竪琴)を弾いているのだろうか?

この絵は、ピーテル・パウル・ルーベンスが描いた「竪琴を弾くダビデ王」(1616年)だ。聖書に出てくるダビデは、もともと羊飼いだった。楽器演奏の能力が優れ、サウル王の楽士として宮殿に足を踏み入れた。そうするうちに、パレスチナの巨人、ゴリアテを石一つで倒し、イスラエルを救った英雄として浮上した。死の峠を越えて、サウルに続きイスラエルの第2代王になった後、40年間統治し、王国の全盛期を築いた。波乱万丈だったダビデの話は美術の人気テーマであり、多くの画家たちは、若くて魅力的な容姿のダビデが勝利する場面を描写した。しかし、フランドルの画家ルーベンスは違った。魅力的な青年でも力のある権力者でもなく、ただ一人で演奏に没頭している老楽師として描いた。王冠もないことから、息子のソロモンに王位を譲り、死を控えた頃だろう。

ダビデは信仰心の厚い王だったが、無欠な人間ではなかった。忠直な臣下の妻バッセバを犯した後、彼女を得るために計略を企てて忠臣を死なせた。その罪で幼い息子を失い、王子たちの反乱と死を見守るなど試練を経験しなければならなかった。40年間の権力の重みを下した70歳の老人は、平和にハープを弾きながら神を賛美している。もしかしたら、自分が演奏できる最も美しい音楽を神に捧げ、過去の過ちを省察し悔い改めているところなのかもしれない。

当時、ルーベンスはアントワープで最も成功した画家で、貴族的な生活を送っていた。信仰心深かった彼は、老年のダビデを描きながら自らを振り返ったのかもしれない。富と名声は永遠ではないもので、結局我々を救うのは懺悔と美しい芸術だけだと。