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100年間の待ち時間

Posted April. 13, 2023 08:16,   

Updated April. 13, 2023 08:16

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「私はむしろ、50年あるいは100年後の観客を待つ」。1917年に、便器を美術展示会に出品して断られて議論を呼んだマルセル・デュシャンが言った言葉だ。約1世紀後、スコットランドの若い作家ケイティ・パターソンは、100年後に完成する作品を発表した。それも美術館ではなく、公共図書館の中に。

ノルウェー・オスロの名所ダイヒマン図書館は、劇場や講堂、カフェ、ゲームセンターなどを備えた21世紀型公共図書館のロールモデルだ。しかし、ここで最も注目されるのは、意外と最上階にある「未来図書館」(写真)だ。曲線型の廊下付きの小さくて静かな部屋で、パターソンが企画してデザインした。木でできた室内のあちこちに埋め込まれた透明な引き出しは、文筆家たちの未発表原稿のためのタイムカプセルだ。

実は「未来図書館」は、一つの公共芸術プロジェクトだ。オスロ近郊の森に1000本の苗木を植えて100年間待った後、その木で作家100人の本100冊を作る計画だ。このプロジェクトのために2014年から毎年作家1人が招待され、彼らの原稿は封印され、2114年に出版される予定だ。

一番最初に招待された人は、カナダの有名小説家マーガレット・アトウッドであり、2019年には小説家韓江(ハン・ガン)がアジア作家として初めて選ばれた。韓江は、オスロの森で行われた寄贈式に直接参加し、「愛する息子へ」という未発表小説を伝えた。小説家も現在の読者も、本の出版まで生きることはできないだろう。このようにまだ生まれてもいない未来の観客のために、世界の作家たちやボランティアたちが喜んでプロジェクトに参加している。

もしかしたら100年後には本当に紙の本が消えたり、森が燃えたり図書館がなくなるかもしれない。それでもパターソンは、「100年間の待ち時間」を強調する。スピードと無限競争の時代に、ゆっくりだが幸せな同行に私たちを招待する。今何をしていても、100年後のことを考えようと勧める。それが芸術であれ、本であれ、政策や制度であれだ。