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「救急手術の財政投入を拡大…119と病院のリアルタイムでのコミュニケーションを」[ヒーローコンテンツ/漂流⑤最終回]

「救急手術の財政投入を拡大…119と病院のリアルタイムでのコミュニケーションを」[ヒーローコンテンツ/漂流⑤最終回]

Posted April. 04, 2023 08:16,   

Updated April. 04, 2023 08:16

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救急患者が治療を受けられないまま、無力にも彷徨う「漂流」が日常となっている。これを招く原因を正さなければ、今後も救急車や救急救命室で漂流して誰かが命を失いかねない。

「漂流」を終わらせる解決策は単純だ。手術医が今より多くいなければならない。その医師と患者をつなぐシステムを直さなければならない。政府と国会はすでに知っている答えだ。実行する義務を捨てているだけだ。

保健福祉部が先月21日に発表した「第4次救急医療基本計画」は、これまで繰り返してきた内容と変わっていない。果敢な実行案はなかった。東亜(トンア)日報のヒーローコンテンツチームは、その基本計画の一部を書き換えてみた。昨年10月から今年3月まで、26人の漂流患者と100人を超える現場の医療スタッフと救急隊員に対し、深層インタビューを行って下した結論だ。



●現場とかけ離れた政府対策

小学校に通う2人の子供を持つペ・ビョンインさん(40)は、昨年12月17日、慶尚北道安東市(キョンサンブクド・アンドンシ)での交通事故で骨盤の骨が粉々になった。28分後に安東病院に移送されたが、この病院を含め、近隣の病院7ヵ所に手術が可能な医師はいなかった。他の病院3ヵ所には医師はいるが、すでに他の患者を手術中だという。ペ氏は怪我をしてから5時間35分が経ってから、約220キロ離れた病院に運ばれた。

外科医の不足は、漂流の最も根本的な問題の一つだった。救急患者は、救急車→救急救命室→手術室の順にスムーズに移動しなければならない。ところが、手術室に医師がいないと、各段階が詰まって患者は街をさまようことになる。

福祉部は、これを解決する対策として「循環当直制」を提示した。例えば、脳出血の救急手術が可能な医師を月曜日はA病院に、火曜日はB病院に常駐させるやり方だ。

しかし、これは手術医自体が足りない現実を無視した「卓上行政」に過ぎない。圏域外傷センターを置く一部の病院は、四肢切断を防ぐ血管手術の医師さえ見つけられない状態だ。



手術が必要な重症の小児患者を24時間診療する小児専門救急医療センターを、全国8ヵ所から12ヵ所に増やすという対策も同じだ。すでに指定されたセンター8ヵ所のうち、一部も手術医を見つけられず閉鎖する状況となっている。

結局、応急手術に対する補償を大幅に引き上げたり、重症救急患者の収容率を上級総合病院の評価に反映したりするなどの根本的な対策が必要だという指摘が出ている。そのためには、不要な検査と軽症診療に投入されていた健康保険の財政を応急手術に引っ張ってこなければならない。応急手術費が安く策定されざるを得ない構造で組まれた現行の「相対価値の点数制」も、見直さなければならない。政策の恩恵者を減らす作業であるため、逆風を懸念した政府と政界はこの改革を先送りしている。



●119・救急救命室・手術室はリアルタイムで疎通すべき

救急患者が道に迷う時間を1分でも減らすためには、治療が可能な病院を一度に探せるシステムが必要だ。

先月19日、大邱(テグ)で起きた17歳の女子生徒の墜落死亡事件では、そのシステムの不在が次々と明らかになっている。救急隊は、病院が患者を診療できる状況にあるのか知らないまま、複数の救急救命室をさまよい、状況室は不正確な情報に基づいて病院に電話をかけまわした。

今回の福祉部の対策には、「119救急隊がタブレット端末に入力した患者の情報を、移送が予定された病院に伝送するシステムを構築する」という内容が盛り込まれている。実際、救急患者がいわゆる「救急車に乗ってからのたらいまわし」を経験することを勘案すれば、患者の受け入れを問い合わせる段階から患者の情報を共有してこそ迅速な移送が可能だ。

地域ごとに、病院間の転院を支援する状況室を追加で設置するという対策が、実現するかはまだわからない。中央救急医療センターの状況室でさえ、人材拡充の予算が削られたためだ。福祉部の関係者は、「地域状況室の設置に使う予算が今年はおらず、来年も確保するのは難しそうだ」と吐露した。



●重症と軽症の救急救命室を分けるべき

119救急車をタクシーのように利用する軽症患者も、漂流を起こす原因になる。昨年12月19日昼12時21分、ソウル広津区紫陽洞(クァンジング・ジャヤンドン)で心停止の患者が発生した。心停止患者は、心肺蘇生法が1分遅れるごとに生存可能性が7〜25%ずつ急激に低くなる。ところが、この患者を助けに行ったのは、車で10分の距離にいた松坡(ソンパ)消防署蚕室(チャムシル)の119救急隊だった。より近くにいた救急隊は、全員が「痰がたくさん出る」とか「足がずきずきする」という119の通報を受けて出動中だったからだ。

混雑した救急救命室も、ゴールデンタイムを失う主犯だ。大手病院の救急救命室は、毎晩、待機患者で賑わうが、彼らは3人に2人の割合で小型の救急救命室で治療を受けてもいい軽症患者だ。記者が救急救命室を取材していたところ、「かばんを長く握って、手のひらが白くなった」と診療を要求する場合もあった。

何の症状もない人が繰り返して救急車を呼んだり、大型病院の救急救命室を訪問すれば、大きな費用を払う案を検討する時になった。現在、軽症患者が大型病院の救急救命室を利用する際に受ける不利益は、救急医療管理料をさらに約4万ウォン支払うこと以外にはない。日本は、救急隊が軽症患者の搭乗を断ることができ、非救急患者が大型病院の救急救命室(高度救命救急センター)を利用すれば、数十万ウォンに当たる診療費を払う。