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臆することのない、豪快なこの人

Posted February. 18, 2023 08:51,   

Updated February. 18, 2023 08:51

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「私はあの女が不愉快だ。自分のことしか描いていない」

ある知人が著者に言った言葉だ。「あの女」は、メキシコの有名画家、フリーダ・カーロ(1907~54)。彼女はメキシコの民衆画家ディエゴ・リベラの妻だ。身体的障害と心理的苦痛を克服するために生涯努力した人物でもある。著者は「不快に感じようが、同情しようが、彼女は私たちを挑発して語らせる」とし、「フリーダのように愛さず、熱心に書かず、これまで何をしたのか。夜遅くまで眠らず、私は自分を責めた」と語った。

文壇の権力に臆することなく詩人高銀(コ・ウン)のセクハラ疑惑を世に知らせ、辛辣に批判した著者が、「偶然私の日記を覗く人に」(2009年)以来14年ぶりに出した散文集だ。「MeToo(セクハラや性暴力の告発)」からスポーツや日常など様々な話が盛り込まれている。

特に、2017年に高銀のセクハラ疑惑を初めて暴露した詩「怪物」を発表した後、著者に起こった出来事がそのまま収められている。法廷闘争を控えて書いた「真実を覆い隠すことができるのか」という文で、著者は「怒りと閉塞感が過ぎると闘志が湧いてくる。面白い裁判になりそうだ。あのすごい人権弁護士たちの実力を一度見てみたい」と強気な態度を見せる。

文を読んでいると、困難に立ち向かう勇気に驚かされる。著者は溺死しそうになった経験をした後、わざと深い水に身を投げて恐怖を克服した。歩いていてサッカーボールが転がってきたら、足がむずむずして放っておかない。この堂々とした態度が、「面倒なことに巻き込まれるのが嫌で沈黙している間に、社会の表現の自由が大きく後退した」と辛辣に語る今日の著者を作ったのではないだろうか。


キム・テオン記者 beborn@donga.com