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[オピニオン]硝子窓

Posted February. 18, 2023 08:51,   

Updated February. 18, 2023 08:51

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「硝子窓」というタイトルを聞くと、鄭芝溶(チョン・ジヨン)の作品が思い浮びがちだ。鄭芝溶の作品も優れているが、金起林(キム・ギリム)の「硝子窓」もそれに劣らない。2人は1930年代の韓国文壇を代表する作家だ。彼らが偶然にも同じタイトルの詩を書いたというのは不思議だ。しかも妙に重なる点もある。鄭芝溶もそうだったが、金起林も「硝子窓」の前では内心を隠せなかった。人前で泣くことができないので、一人背を向けて硝子窓にしがみついて泣いたのかもしれない。実際、金起林は涙や悲しみが似合わない詩人だ。知的で洗練され、温かいというよりは冷たいイメージを持っている。実際、学歴も高く、職業も記者、教師、講師だった。どこへ行っても本音を吐露できない大人だったということだ。そんな彼が硝子窓に額を当てて泣いている。自分はとても弱い人間だと言いながら、小さなため息でも曇り、月明かりにも壊れる心だと悲しんでいる。

この詩を読むと、見知らぬ金起林を発見する。眼鏡の向こうに鋭い眼差しを誇示していた一人の知性の極めて人間的な面に出会うことになる。彼には懐疑や悔恨などないように思えたが、そうではなかった。鋼のような彼にも、嗚咽する夜と悶える闇があった。人間だから当然のことだ。私たちの心がすぐに壊れてしまうのは、私たちのせいではないということでもある。

文学評論家


イム・ヒユン記者 imi@donga.com