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正義とはこういうもの

Posted February. 16, 2023 08:33,   

Updated February. 16, 2023 08:33

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正義とは何か。マイケル・サンデル教授が書いた世界的なベストセラーのタイトルでもあるこの問いは、古代人もしていた。ギリシャの哲学者プラトンは、国家が存在する目的を正義の実現にあると見た。17世紀のオランダの画家ハブリエル・メツーは、正義の姿を1枚の絵(「正義の勝利」・1651~53年頃・写真)で表現した。

画面中央には白いドレスを着た正義の女神が天使たちと共に登場する。目を覆ったまま右手には剣を、左手には天秤を持っている。足元には服を脱いだ若い男が苦しそうに倒れている。仮面も外され、手には物差しを握っている。開いた鞄からは金が溢れている。女神に足蹴にされている男は、貪欲と欺瞞の擬人化だ。金に目がくらんでどれだけ多くの人をだましたのか、天使が男に書類のようなものを差し出す。右には赤ちゃんを抱いた女性と少年がひざまずく。頭に嘆きのベールを着けた女性は未亡人で、赤い服を着た少年は孤児だ。彼らは自分たちの哀れな事情を女神に訴えているようだ。正義の女神は剣で貪欲を罰し、未亡人と少年に向かって公正の天秤を掲げた。保護のジェスチャーだ。

実はこの絵は、画家自身の人生を投影している。メツーは生まれた年に、労働者だった父親を亡くした。当時は両親のどちらかがいないだけで孤児だった。貧しい助産師だった母親は3人の子どもを連れて再婚したが、4度も未亡人になった。幸い、当時の未亡人は公的慈善団体の支援を受けることができた。メツーは19歳からプロの画家として活動し、この絵を描いたのは22歳の頃だった。貧しい青年画家にとって世界は厳しいものだったが、タイトルのように正義が勝利するという信念があったからこそ、挑戦し、成し遂げることができた。もしかするとこの絵は「正義とは何か」に対する画家の答えなのかもしれない。悪人を罰し、善人を守ること、誰にでも公平なこと、それが正義だ。私たちが生きる世界は、プラトンの時代よりも17世紀のオランダよりも公正なのか問いかける絵だ。