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尹政府初のスパイ団捜査、「公安捏造」の声が出ないよう厳正に行うべきだ

尹政府初のスパイ団捜査、「公安捏造」の声が出ないよう厳正に行うべきだ

Posted January. 10, 2023 08:44,   

Updated January. 10, 2023 08:44

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韓国国内の進歩政党の幹部などが北朝鮮からの指令を受け、国内の政党や労働・市民団体などに浸透し、反政府活動を行ってきた疑惑で捜査を受けている。国家情報院(国情院)と警察によると、左派政党幹部のA氏は、2017年、カンボジアで北朝鮮の対南工作部署である文化交流局のスパイ教育を受け、帰国後、済州道(チェジュド)の労働界の幹部と農民運動家などを取り込み、「ハンギル会」を組織し、北朝鮮の指令により韓米合同軍事演習の中断闘争や左派政党候補を支持する活動を行ったという。公安当局は、これとは別に、昌原(チャンウォン)の左派団体の幹部であるB氏夫婦を同様の容疑で取り調べているという。

これらの事件は、2017年から北朝鮮のスパイと指令文・報告文84件を暗号化ファイルでやりとりし、忠清北道(チュンチョンブクト)地域の政治家や労働・市民団体の関係者60人余りを取り込み、米国製ステルス戦闘機の導入反対など反米活動を行っていた3人が2021年に拘束された「自主統一忠北同志会事件」に似ている。当時、捜査は国情院が主導したが、検察に渡された後、最高検察庁が清州(チョンジュ)地検の検事派遣要請を拒否するなど、捜査縮小との批判の声が上がっていた。今回の捜査は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府下で初めて公開されるスパイ団事件であるうえ、捜査も全国で同時多発的に行われており、全体規模はさらに拡大する可能性もある。捜査対象の中で少なくない人が左派政党や労働・社会団体の関係者という点で、政界と市民社会の内部におけるさらなる連係などをめぐり徹底した捜査が行われなければならないだろう。

文在寅(ムン・ジェイン)政権下ではスパイ摘発件数が以前に比べて大きく落ち、「捕まえないのか、捕まえられないか」という議論もなくはなかった。国情院の対共捜査権は、文在寅政府時代(2020年)に成立した法によって、2024年からは警察に完全に移管されることになっている。今回の捜査を機に、対共捜査権の全面的な移管が適切かどうかをめぐる議論が再現する可能性もある。

かつて公安当局は、ソウル市公務員のユ・ウソン氏に対するスパイ証拠捏造事件で物議をかもしたことがある。進歩党からは、「先月の家宅捜索以降、事実無根という点を着実に明らかにしてきた」と反発している。抜かりのない証拠と法的手続きの遵守を通じて、疑惑の実体を厳しく捜査することだけが、もしかするとあるかも知れない「公安捏造」の誤解を払拭し、国民が納得できる結果を得る道だ。