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成功する理由

Posted December. 22, 2022 08:46,   

Updated December. 22, 2022 08:46

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子どもの頃のイエスがヨセフに寄りかかって犬と遊んでいる。犬の視線を引きつけるためか、小さな鳥をつかんだ右手を上げている。犬は前足を上げて、これに反応している。糸巻きをしていたマリアが、その姿を愛おしそうに眺めている。貧しくても世間を羨むことなく幸せに見える聖家族の姿だ。

バルトロメ・エステバン・ムリーリョは、17世紀にスペイン・セビリアで最も成功した画家だった。聖書の物語を独創的に解釈して表現した宗教画であり、大きな名声を得た。この絵は代表作だ。ムリーリョは、聖家族を美化せず、平凡な労働者家庭の姿で描写した。子どもであるイエスの頭には後光もなく、大工のヨセフの額にはしわが鮮明だ。聖母も生計のために働いている。2匹の動物を描いたことも珍しい。イエスが手に握る鳥はスズメのようだ。スズメは自由の象徴であり、善と悪の間で選択できる魂の自由を意味する。小さくて軽く、木の上に容易に飛び上がる特性のため、善行を通じて天国に昇る魂と解釈されたりもする。犬は信義と忠誠の象徴だ。家と羊の群れを守る、人間が最も信頼する動物だ。画家は、善良な人々が貧しい中でも信頼と信仰で和やかな家庭を築く姿を表現しているのだ。

ムリーリョがこの絵を描いたのは33歳の頃、結婚して5年が経った。子どもが生まれ、誰よりも幸せな家庭を築きたいと思う時だ。セビリアの理髪師の息子として生まれたムリーリョは、10歳の頃に両親を亡くし、結婚した姉の元で暮らしていたが、姉もそれほど長く生きることができなかった。妻は10人の子どもを産んだが、半数が夭折した。ムリーリョにとって家族は特別だったにちがいない。先に逝った家族へは鳥のように飛んで天国でゆっくり休むことを望み、残された家族へは忠犬のように信義と信仰で守りたかったことだろう。生涯手から筆を離さなかったムリーリョにとって、家族は愛し扶養すべき対象であり、画家として成功しなければならない真の理由だったのかもしれない。