「私たちは皆、基本的にタイムトラベラーであり、一緒に未来に向かって旅をするパートナーだ。しかし、その未来が、私たちが訪問したい場所になるためには、一緒に絶えず努力しなければならない」(スティーブン・ホーキング『ホーキングのビッグ・クエスチョン〈人類の難問〉に答えよう』)
2018年に亡くなった天才物理学者の故スティーブン・ホーキング博士は、遺作となった「ビッグ・クエスチョン〈人類の難問〉に答えよう」で、タイムトラベルとは私たちがよく考えるように過去や未来にジャンプしていくのではなく、今現在を生きていくことだと話した。なんて素敵な言葉だろう。タイムマシンに乗らなくても、私たちは今みんなでタイムトラベルをしているという。そうだ。私たちは「流れない」時間を旅しながら、日々を生きている。
タイムトラベルという言葉のように魅惑的な単語が、他にあるだろうか。私にはなおさらそうだ。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back To The Future)」は、そのような意味でどれほど面白い映画なのか、何度見ても退屈しなかった。タイムトラベルは漫画の定番メニューだ。代表的な漫画としては、日本の国民的漫画家、藤子・F・不二雄氏が作った「ドラえもん」がある。我が国も負けるわけにはいかない。国民的キャラクターの「ドゥリ」が、過去にタイムトラベルをしながら母親と会うシーンは、今までも脳裏に印象深く残っている。
しかし、ホーキング博士は、私たちが現在住んでいるマクロ世界では過去へのタイムトラベルは不可能だと言う。未来へのタイムトラベルは可能だ。ただ、光より速いタイムマシンが必要だ。ところで、光より速いタイムマシンを作ることができるだろうか。私が生きている間に、そのような機械を作ることは不可能に見える。ホーキングが言った通り、未来に向かってタイムトラベルをしながら、私たちが到達する未来をより素敵にできるように努力した方が、より素敵なタイムトラベラーとして生きる方法ではないだろうか。今この瞬間、私たち皆がタイムトトラベラーだと思うと、日常がより大切になりわくわくする。