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インドネシアの制作者たち、「韓国映画のストーリーテリングはすべての人に感動…配給権争奪戦が激しい」

インドネシアの制作者たち、「韓国映画のストーリーテリングはすべての人に感動…配給権争奪戦が激しい」

Posted November. 05, 2022 08:58,   

Updated November. 05, 2022 08:58

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今年9月8日にインドネシアで公開された映画「7番房の奇跡(Miracle in Cell No.7)」は、その名にふさわしい活躍をした。韓国映画「7番房の贈り物」(2013年)をリメークした作品で、先月末まで585万人の観客を集め、インドネシアのこれまでのボックスオフィスで5位となった。損益分岐点の140万人を大きく上回ったのだ。売り上げは192億ウォンに達した。広報マーケティング費用を合わせた総製作費が21億ウォンだったことに照らしてみれば、超大当たりの興行成績を記録した。

これに先立って、ベトナムでも韓国映画のリメイク作の興行ニュースが伝えられた。「エクストリーム・ジョブ(極限職業)」(2019年)のベトナム版の「極易職業」(非常に簡単な職業)が今年4月末に公開後、2週間ベトナムのボックスオフィスで1位となったのだ。原作では主人公刑事たちがチキン屋を偽装経営するのとは異なり、ベトナム版ではベトナムの国民料理「タムご飯」店を運営することに設定を変え、地元観客を攻略した。その結果、86万人の観客を集め、今年、ベトナムで公開した自国映画の中で3位となった。

●興行成績証明済みの韓国映画のリメークが相次ぐ

今春、世界がエンデミック局面に入って以来、パンデミック期間中に公開できなかった韓国映画のリメイク作が、世界各地で公開されている。「7番房の奇跡」や「極易職業」のように大ヒットする作品も続々と登場し、世界のどこでも互換可能なKストーリーの底力を証明している。

今年2月25日にネットフリックスを通じて世界に同時公開されたフランス映画「レストレス(Restless)」は、ハリウッド大作を抜いて同月26日から5日間、映画部門のストリーミングで世界1位となった。この映画は、2014年に公開された「最後まで行く」をリメイクしたもの。9月には、「怪しい彼女」(2014年)をスペイン語版でリメイクした作品が北米とメキシコで公開された。映画「青年警察」(2017年)は、日本の日テレドラマ「未満警察ミッドナイトランナー」にリメイクされ、今年6~9月に放送された。このドラマは、最高視聴率が11.2%を記録し、興行に成功した。

映画振興委員会によると、昨年の韓国映画のリメイク版権の販売輸出額は194万2500ドル(約27億6200万ウォン)。2020年の99万7126ドル(約14億2000万ウォン)に比べて2倍近く伸びたもので、この5年間で最高値といえる。通常、リメーク版権を販売する際、韓国内の投資配給会社などの原作者側が公開後、収益の一部を配分してもらう方法で契約する点、版権販売契約の実績が映振委に全て報告されない点を勘案すれば、実際の版権販売関連収益はこれを大きく上回るものと見られる。

特に、海外の映画会社は、作り終わった映画の公開を先送りしなければならなかったパンデミック期間中に、不本意ながらできた時間を活用して、韓国映画の中で興行成績が証明された作品のリメーク版権をあらかじめ確保するために激しい競争を繰り広げた。パンデミック期間中に、「イカゲーム」を先頭にKコンテンツがメガヒット水準の人気を集め、その存在感と信頼が同時に上がったことを機に、リメーク版権の確保競争は一層激しくなった雰囲気だ。

「7番房の贈り物」の配給会社であるNEWの子会社で、海外販売を担当するコンテンツパンダのイ・ジョンハ取締役は、「パンデミック期間中に韓国で興行成績が立証され、リメークをする場合、リスクを減らすことができるストーリーを探す傾向が目立って強化された」とし、「パンデミック期間中に、海外バイヤーのリメーク版権の購入関連の問い合わせが特に多かった」と話した。

●北米や欧州、中東まで、リメイクの大陸別「道場破り」

東南アジアや中国、日本などのアジア中心だったリメーク版権の購入国は、パンデミック期間を機に北米など全世界に急速に拡大する傾向だ。「怪しい彼女」や「サニー」(2011年)、「7番房の贈り物」、「最後まで行く」など、リメイク市場の大物に属する作品は、事実上、全大陸にわたってリメイクされ、「大陸別道場破り」に乗り出した様子だ。「7番房の贈り物」は、フィリピンやトルコ、インドネシアでリメーク版が公開されたことをはじめ、昨年、スペインでリメーク版権が販売された。インドとアラビア語(中東)の版権も販売され、製作の準備をしている。米国や日本とも版権の販売について話し合っている。「最後まで行く」も、フランスと中国、フィリピンで映画公開やオンライン動画サービス(OTT)を通じて公開されたことをはじめ、日本版の製作も行われている。米国やインドとも版権販売契約を交わした。

特に「怪しい彼女」は、リメーク版権を購入後に現在、企画開発しているドイツと、英語バージョンの製作を準備している米国など、リメーク版が公開されたり、リメークが推進中のバージョンだけで計9つに達する。米国のアマゾンは、昨年、アクション映画「悪女」(2017年)の版権を購入後、テレビシリーズでリメイクを準備している。「最後まで行く」の投資配給会社であるショーボックスのアン・ジョンウォン海外事業チーム取締役は、「パンデミック期間中に『イカゲーム』が浮上し、数多くの国々から、これまでよりさらに多様なジャンルの韓国映画の版権購入について問い合わせがきている」とし、「リメイク版権に関心を持つ国が多様化する傾向が、確実に目立っている」と話した。

●Kストーリーの独創性に世界が熱狂

海外で韓国映画のリメイクに乗り出し、Kストーリーに熱狂する理由としては多様性と独創性が挙げられる。漢陽(ハンヤン)大学文化コンテンツ学科のパク・ギス教授は、「ハリウッドは、ストーリーの創作を少なくとも7、8人以上が共にする集団創作システムを備えている」とし、「このようなシステムでは、話が丸くなり、目立つ話はほとんど受け入れられない」と話した。さらに、「韓国は、一人または少人数がストーリーを作る構造なので、それだけ斬新な物語がたくさん出てくる」と話した。

「7番房のプレゼント」「怪しい彼女」など、リメークの人気作は家族の価値を重視する内容だという点も注目しなければならない部分だ。光云(クァンウン)大学北東アジア文化産業学部のカン・ソンリュル教授は、「新自由主義の拡大でますます生活が厳しくなり、世界の人々が家族の重要性を強調するKストーリーから普遍的な慰めを得ているようだ」とし、「ハリウッドは家族の話を全世界に普遍化させたが、韓国はこれを活用しながらもハリウッドとは全く異なる文法で構成する点、特に悲劇的な情緒をその背景にしている点が、世界の人々の興味を刺激している」と分析した。

この10年間、世界の映画界の主流である米ハリウッド映画が、「アベンジャーズ」シリーズに代表されるマーべル映画や「バットマン」シリーズを前面に出したDC映画など、製作費が1500億ウォンを越える大規模なフランチャイズ映画と低予算の独立映画に二極化したことも、Kストーリーが人気を得るようになった要因だ。アクションやコメディ、ロマンスなど、中間級の映画が貴重になった映画市場で、Kストーリーがこれを埋めてくれる役割を果たしているという分析だ。

●共同制作でリメイクを主導

Kストーリーが人気を集めたことで、韓国映画のリメイク方法が版権だけを販売していたことを越え、最初から韓国の原作者側が海外で製作を主導する共同製作方法に高度化していることも注目に値する。ベトナム版のエクストリーム・ジョブが代表的といえる。この映画の公式国籍はベトナム。しかし、よく見ると、韓国映画と見るべき部分が多い。映画は、CJ・ENMがベトナム現地に作った合弁法人CJ・HKが、ベトナム現地製作会社と共同で作った。奉俊昊(ポン・ジュンホ)監督が演出した映画「マザー」(2009年)も、米国で共同製作方法でリメークが進められている。国内投資配給会社NEWも、ホラー映画「鬼ごっこ」(2013年)を日本とこのような方法でリメークするを検討している。原作者側が直接リメーク版の製作に参加すれば、原作が持つ固有の趣をはじめ、興行の重要要因をそのまま取り込みながらも、現地の特色を反映して適正水準に変奏する現地化戦略で興行の可能性を高めることができる。

CJ・ENMのコ・ギョンボム海外事業部長は、「韓国映画市場は、すでに頭打ちの状態であり、成長に限界があるだけに、韓国ですでに検証済みのストーリーでリメークを主導する方法でグローバル事業を拡大している」とし、「ベトナムなどのアジアはもちろん、トルコなど、世界各地で共同製作の成功事例が蓄積され、次のリメーク作品を作れる基盤がますます拡大している」と話した。


孫孝珠 hjson@donga.com