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NATO会議出席の尹大統領、「国益戦争」の現場を見る機会に

NATO会議出席の尹大統領、「国益戦争」の現場を見る機会に

Posted June. 27, 2022 09:06,   

Updated June. 27, 2022 09:06

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尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が、29、30日にスペイン・マドリードで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に参加するために今日出国する。NATO首脳会議の出席は韓国大統領としては初めてであり、NATOが日本、オーストラリア、ニュージーランドとともにアジア太平洋4ヵ国(AP4)の首脳を招待して実現した。尹大統領は、韓米日3国首脳会議にも参加し、他の首脳たちとも2国間会談も行う。関心を集めた韓日首脳会談とAP4首脳会議は開催の可能性が低いと、大統領室が明らかにした。

 

就任後初の海外訪問が同時に多国間外交舞台のデビューとなった尹大統領にとって、今回のNATO首脳会議の出席は世界各国の首脳らと自然な接触を持つという点だけでも貴重な機会に違いない。世界第10位の経済力に相応の外交力の拡大を通じて「グローバル中枢国家」としての位置づけを構築するという尹政権の外交基調とも合致するうえ、就任直後の韓米首脳会談を通じて大幅に強化した「価値同盟」のグローバル拡張版の外交舞台でもある。

ただし、機会にはリスクが伴う。西側諸国の軍事同盟であるNATOの今回の会議は、ロシアのウクライナ侵略戦争が4ヵ月以上続いているほか、米中間の覇権争いまで激しくなっている時に開かれる。NATOは今回、10年単位で更新する「戦略概念」の新たなバージョンも議論する予定だが、ここにはロシアとともに中国の挑戦に対抗する構想が盛り込まれるという。中国は「分裂と対抗を扇動するいかなる言動にも決然と反対する」という反応を示した。

このような新たな冷戦対決の中、西側諸国の同盟会議に参加するため、政府もそれに伴う外交的負担を意識せざるをえない。大統領室は、「尹大統領のNATO会議の出席と韓国の反中反ロ政策の旋回の可能性は全く関係がない」と線を引いている。自由民主主義に基づいた「価値連帯」強化を話しながらも、韓半島の平和と北朝鮮核解決に向けた包括的安保ネットワークの構築、さらに半導体、原子力発電所など2国間次元のセールス外交を強調するのもこのような理由だろう。

国際社会が価値と理念によって分かれ、経済まで分離する大変動の時に、綱渡り式均衡外交は不可能だ。新政府は、西側陣営の一軸として韓国の外交的座標を再設定した。ただし、自由主義の国際秩序に追従することで韓国の国益は保証されない。価値を共有する西側同盟の会議だが、その中でも各国は激しい国益外交折衝戦を繰り広げる。外交初心者の尹大統領が、その現場を充分に感じて学ぶ重要な機会になることを願う。