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片方の聴覚を失って、2交代で働きながら「明日はミュージカルスター」

片方の聴覚を失って、2交代で働きながら「明日はミュージカルスター」

Posted May. 10, 2022 08:47,   

Updated May. 10, 2022 08:47

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「作曲家はなぜ、最後の音をもっと上げたのでしょうか? エネルギーも使い切ったのに…」

7日午後、ソウル麻浦区(マポグ)にある東亜(トンア)デジタルメディアセンターで行われたチャンネルA「ミュージカルスター」の撮影現場。ミュージカル「マリ・キュリー」「キング・アーサー」のシン・ウンギョン音楽監督が、ミュージカル「デスノート」の主人公ライトのナンバー(歌)の実演を終えたばかりの参加者を尋ねた。

「ますます高まる主人公の感情を、次のシーンで最大化させるためのようです」

参加者が震える声で答えると、シン・ウンギョン監督は彼と目を合わせながら話した。

「声は十分出来上がっているのに…。ナンバーの音楽的構造を本人の考えで分析したのではなく、他人のものをコピーした感じで残念ですね。もう一度歌ってみましょうか?」

この日の撮影では、「ミュージカルスター」の参加者18人が、ミュージカル演出家と音楽監督からメンタリングを受けた。「ミュージカルスター」は、2015年から8年間、大邱(テグ)国際ミュージカルフェスティバル(DIMF)が開催してきたミュージカル俳優の発掘プロジェクトで、チャンネルAが2019年から毎年オーディション番組として制作している。4回目のシーズンである今年の「ミュージカルスター」は、10日午後11時10分に初回が放送される。

メンタリングプログラムには、ミュージカル「ウェルテル」を演出したチョ・グァンファと、演劇やミュージカルで活躍しているキム・テヒョン演出家、シン・ウンギョンとイ・ギョンファ音楽監督がメンターとして参加する。参加者に向けたチョ・グァンファ演出家の演技に対する助言も続いた。

「ナンバーの中で雰囲気が変われば、俳優の行動も変わらなければならないのに…。歌詞の分析が全くできていないようだ」

メンターの鋭い指摘に、参加者はうなずいた。

「メロディに隠れないで、自分の言葉に従え」

「状況を具体的に解釈せよ」

「強弱の調節は自然でなければならない」

同日、メンタリングを受けた参加者18人は、全志願者728人のうち、3月から2ヵ月間続いたコンテストに通った人たちだ。オーディションの参加要件を「24歳以下」としているだけに、志願者は10代後半から20代前半が多数となっている。DIMFのパク・ジョンスク事務局長は、「コンテストの他にも、メンタリングプログラムを別に置く理由は、ミュージカルスターは単に優勝者だけを選ぶ番組ではなく、参加者の実力を実質的に高めるために作られたためだ」と説明した。

今年からさらに厳しくなった競演ルールで、緊張感を増す。審査委員5人のうち4人の合意で合格していた以前までとは異なり、今シーズンからは審査委員の満場一致が必要となる。満場一致で選択されなかった参加者は、その場で脱落の苦杯をなめることになる。審査は、ミュージカル俳優のチョン・ヨンジュ、マイケル・リー、ミン・ウヒョク、ケン、そして音楽監督のチャン・ソヨンが担当する。

さまざまな背景を持つ参加者たちのドラマも主な見どころだ。今年で4年目の挑戦となるミュージカルスター「4浪」から、家の反対を押し切って工場での2交代勤務とアルバイトを並行する志望生、片方の聴覚は失ったが夢をあきらめない青年、昼間は会社、夕方は練習室を行き来する会社員まで…。「ミュージカルスター」の演出を担当するチョン・ギョンナムPDは、「色々な事情を持った参加者が、既存のミュージカルナンバーをどのように本人の話で再解釈し、どんなメッセージを込めて歌うのか聞いてみようという思いで耳を傾ければ、放送をより一層楽しめるだろう」と伝えた。

司会は、ミュージカル「アルタボーイズ」(2016年)で主人公マシューを演じた俳優イ・イギョンが引き受けた。イ・イギョンは、「参加者たちが、各自の個性と強みを生かそうと努力する姿に感動した瞬間が本当に多かった」とし、「夢に向かって一歩ずつ進む方々が、絶対あきらめないことを応援する」と話した。


イ・ジフン記者 キム・テオン記者 easyhoon@donga.com · beborn@donga.com