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第2次大戦でナチス軍が盗んだ時計、80年ぶりに持ち主のもとに

第2次大戦でナチス軍が盗んだ時計、80年ぶりに持ち主のもとに

Posted April. 19, 2022 08:11,   

Updated April. 19, 2022 08:11

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第2次世界大戦当時、ナチスドイツ軍がオランダのユダヤ人から盗んだ懐中時計が、80年ぶりに持ち主の孫のもとに戻った。時計の持ち主は、アウシュビッツ収容所で命を終えた。

16日(現地時間)、米紙ニューヨーク・タイムズとオランダ放送RTVによると、この懐中時計の裏には、1910年、オランダ・ロッテルダムでアルフレッド・オベルストレイトが弟のルイスの18回目の誕生日を記念して製作したと刻まれている。この兄弟は、32年後の1942年、ナチス軍に捕らえられ、2人ともアウシュビッツ収容所で息を引き取った。時計は、ナチス軍がルイスから奪ったものと推定される。

その後約80年間、行方が分からなかったこの時計は、ベルギーのあるとうもろこし農家で発見された。農場主だったギュスターヴ・ヤンセンさんの孫が数ヵ月前に受け継いだ農家を整理していた時に時計を発見した。農場主の孫のピーテル・ヤンセンさんは、「(戦争当時)軍人がとうもろこし畑で休んでいたことがあった。祖父が畑でこの時計を拾った」とし、「祖父は時計がナチス軍のものではないことを知り、時計を隠して保管した。祖父はナチスを嫌っていた」と話した。

 

孫は、祖父と父親が2代にわたって大切に保管してきたこの懐中時計を持ち主に返すために、オランダ・ロッテルダム地域のユダヤ人遺品を収集する歴史学者に助けを求めた。時計の裏に刻まれたオベルストレイト兄弟の名前が唯一の手掛かりだった。学者とともにツイッターやフェイスブックなどを手がかりに捜した末、兄のアルフレッドさんに娘がいて、彼女に3人の子どもがいることを突き止めた。こうして2月、孫の1人であるリヒャルト・ファン・アメイデンさんと連絡がついた。

劇的に祖父の時計を受け取った孫のファン・アメイデンさんは、「このような時計が存在したことすら知りませんでした。長い歳月が流れても時計が完全なので驚いています。母が祖父の遺品を見ずに亡くなったことが残念です」と話した。彼女は、両親が第2次大戦を経験した後、深刻な戦争のトラウマに苦しみ、戦争について話した記憶がなく、祖父母についてもよく知らなかったという。

「この時計を受け取ってうれしいですが、今起こっている(ウクライナ)戦争のことを思うと、胸が痛みます。爆撃を受けた都市の地下鉄の構内で所持品を抱えて眠る子どもと老人のことが思い出されます」

時計を渡すために今月ベルギーからオランダ・ロッテルダムを訪れたヤンセンさんは、「祖父の望みどおり時計が持ち主のもとに戻ってうれしい」と話した。


任寶美 bom@donga.com