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マリウポリ上空の長距離爆撃機

Posted April. 19, 2022 08:12,   

Updated April. 19, 2022 08:12

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ロシアは4月15日、長距離爆撃機を動員してマリウポリを攻撃したと明らかにした。ロシアにはツポレフ(TU)95と160という二機種の長距離爆撃機を保有する。どちらの機種かは正確にはわからないが、どちらであれこの爆撃機がマリウポリの上空に現れる理由はなかった。ロシア軍はマリウポリを9割以上掌握している。一握りの領土を拠点にウクライナ兵が英雄的な抵抗を繰り広げている。都市をじゅうたん爆撃するわけでもなく、抵抗拠点を精密に攻撃するのであれば、強いて爆撃機を使う理由はない。ツポレフの出現は、核の武力示威だ。すでにロシア軍は、21世紀の強大国の戦争では考えられない戦略と行動をすべて見せた。それゆえ核挑発もあり得ないことではないように思える。「やると言ったらやる。何でもできる」。これが青空に描いたメッセージだ。

ロシアは三重の苦境に陥っている。「ふたを開けてみると、ロシア軍は絵に描いた虎だった」という認識が世界中に広まった。ロシアの意図に反し、NATOはさらに強くなっている。スウェーデンとフィンランドまでNATOに加盟したうえ、ドイツは再武装を宣言しており、今後NATO軍が増強されることは確実だ。ロシアがNATOの東進をウクライナ侵攻の理由に掲げたが、実際には、これまでNATO軍の即戦力は驚くほどお粗末なものだった。数字だけで比較すると、ロシア軍の拳にも及ばないほどだった。ロシアの侵攻は、ジャックが豆の木を植えたようなものだ。状況は好転する兆しが見えない。切歯腐心して戦力を集中し、ドンバスの大攻勢を予告しているが、ウクライナ軍はひるまない。万一、大攻勢が勝利を収めても、変わることはない。

ロシア軍はさらなる悪評を買うことだろう。ロシア軍の核の脅威は、彼らが当惑の中で出すカードが無くなったという意味だ。核のカードを取り出し、「私たちはどんなことでもできる」という脅しは、1956年のスエズ危機の時から使ってきた手法だ。驚くべきことは、その脅しがしばしば通用したということだ。ソ連時代から、大っぴらに核のカードを取り出さなくても、西側世界はいつもロシアを飢えた虎のように慎重に対応した。今回も通じるだろうか。あるいは今回は本物だろうか。