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企業の正しい責務とは何か

Posted April. 11, 2022 08:38,   

Updated April. 11, 2022 08:38

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「そのとき以来私は、経営の基本を、『全従業員の物心両面の幸福の追求』と『人類社会の進歩発展への貢献』に変えたのです。・・・これ以外に、企業の目的はないと、私は思っています」(稲盛和夫『心を高める、経営を伸ばす』)

経営の神様と呼ばれた稲盛和夫は、松下幸之助、本田宗一郎とともに日本の3大経営者と呼ばれ、多くの人々から尊敬を受けている。筆者も、人生で苦しい時に出会った彼の本『生き方』が強い動機付与になり、その後、彼の本は「購入1位」の座を占めた。

有名な「アメーバ経営」(環境の変化に合わせて組織構造などを迅速かつ柔軟に変えること)を確立した稲盛は、京セラをグローバル企業に育てる間、独占市場を打破するという大義名分の下、本業とは関係のない通信市場に飛び込んだ。巨大企業だったNTTに対抗してKDDIを創業し、独占市場を競争市場に再編した。引退後は経営破綻に陥った日本航空(JAL)にアメーバ経営を適用させ、1年で史上最大の実績で黒字化する神話を描いた。

稲盛は、利他的な心と大義名分を優先し、「企業経営の目的は株主利益の最大化」を主張したミルトン・フリードマンとは正反対の理論を説いた。従業員の幸福と社会貢献のために熱心に働けば、株主の利益はついてくるという彼の話は新鮮な衝撃だった。

企業とは、利潤を創り出して従業員の生活と幸福の責任を負い、税金を納付して社会的責任を全うすると共に、顧客には最高の財貨とサービスを提供し、人類社会の進歩に寄与するという彼の理論は、企業の責務を改めて考えさせる。