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「さらば、ケンブリッジ」

Posted April. 06, 2022 08:44,   

Updated April. 06, 2022 08:44

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芸術は歓待を教える。相違し見慣れないことに対する歓待を前提とするためだ。中国の詩人、徐志摩の「さらば、ケンブリッジ(再別康橋)」は、芸術が持つ属性をよく示す詩だ。

この詩は、題名が暗示するように詩人がケンブリッジを再び訪れ、離れる時に感じた切ない心を詠う。詩人の李陸史(イ・ユクサ)は1941年、『春秋』6月号で、現代の中国詩人の中で徐志摩を最も高く評価し、この詩の第一連を次のように訳した。「私は静かに静かに去る/静かにここに来たように/そっと手を振って/西の空の赤い雲に別れを告げる」。こう始まる詩は、穏やかなケンブリッジ川の水草になりたいが、思い出がつまったここを離れなければならない寂しい思いを中国語の韻律にのせる。

徐志摩にとってケンブリッジは大切な空間だった。ある女性を愛したところであったし、経済学を専攻する彼を文学に導いたところだった。徐志摩は、シェリー、キーツ、ワーズワースといった英国ロマン主義の詩人を読み、深い影響を受けた。その結果、多くの詩が書かれ、李陸史の診断どおり、すぐに中国現代詩の柱となった。それゆえ、中国は中国で、英国は英国で徐志摩の詩を称える。中国の教科書には、徐志摩の詩が掲載され、朗唱され、ケンブリッジ大学の校庭には、徐志摩の詩の最終連が刻まれた碑が立てられた。「私は秘かに秘かに去る/秘かにここに来たように/私は袖を振る/一片の雲も持たずに」。

80年前にこの詩を韓国語に訳した李陸史の告白のように、この詩の「韻律と格調を韓国語に移すことは容易なことではなかった」。このような詩は、中国語の美しさをうまく生かしたカナダ人、マーク・ロスウェルの朗唱をユーチューブで聞けば少しは役立つ。この美しい詩で、見慣れない国、見慣れない都市は歓待の対象だ。反目と憎悪、戦争が大手を振るう時代に、徐志摩のケンブリッジの詩を読む理由だ。