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苦痛から脱するには、ひとまず受け入れること

苦痛から脱するには、ひとまず受け入れること

Posted April. 02, 2022 08:26,   

Updated April. 02, 2022 08:26

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「苦痛をなくす全てのことには中毒性があります」

米スタンフォード大学依存症治療センターの精神健康医学の医師である著者が患者に度々言う言葉だ。20年間、数万人の患者に会った著者は、快楽と苦痛は秤の上に載せられていると主張する。実際に脳は大きな刺激を受ける時、ドーパミンという神経伝達物質を分泌し、快楽と苦痛を感じる。水平の秤で快楽を感じれば、反作用として苦痛が伴うということだ。中毒は、苦痛から抜け出すためにさらに刺激的な快楽を求める時に始まる。

苦痛から抜け出せば幸せになるだろうか。著者はそうではないと答える。むしろ苦痛を除去の対象とする現代医学を批判する。17世紀の英国の医師トマス・シデナムは、「適当な苦痛は自然が最も賢明な用途で使う治療手段」と言ったほど、苦痛を肯定的に見ていた。しかし、現代医学は小さな苦痛をもなくすために多くの薬品を処方してきた。米国では2013年に神経安定剤の処方を受けた成人が1996年に比べて67%急増した。薬品だけだろうか。インスタグラム、ユーチューブ、ネットフリックス・・・。苦痛を忘れさせる快楽は随所にある。苦痛から抜け出そうとすればするほど中毒に取り囲まれる。

中毒から抜け出す第一歩は、苦痛を受け入れることだ。著者を訪ねてきた10代の少女デリラは、1ヵ月間大麻を断ち、大麻がなくても自ら不安を耐え抜くことができることを悟る。慢性の痛みを軽減させるために10年間鎮痛剤に依存してきたある患者は、薬を減らした後、痛い時に音楽を聞くようになった。苦痛を耐える自分なりの方法を見つけたのだ。

苦痛から抜け出すために快楽を求める瞬間がある。その時、自分のところに来た麻薬中毒患者に著者が残した話を考えてみてはどうか。「苦痛を耐え抜くことは難しいが、あなたには機会です。考え、感情、苦痛など、自分を見つめる機会です」。著者の助言に従ってみるなら、苦痛を耐え抜く力がすでに自分の中にあることを悟るかもしれない。


イ・ソヨン記者 always99@donga.com