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ホロコースト生存者、ロシアの空爆を逃れて再びドイツへ

ホロコースト生存者、ロシアの空爆を逃れて再びドイツへ

Posted March. 31, 2022 08:39,   

Updated March. 31, 2022 08:39

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「私の中にあの時の恐怖がまだ残っているとは思わなかった」

ウクライナの首都キエフに住むホロコースト生存者、タティアナ・ツラブリオヴァさん(83)は先月24日、ロシアの空爆が始まると、80年近く胸の奥にあったつらい記憶が蘇った。ツラブリオヴァさんが子どもだった1940年代初め、ユダヤ人虐殺を行ったナチスドイツ軍から逃れて母親の手を握って故郷のオデッサからカザフスタンに避難した。

今回のロシアの侵攻は、ツラブリオヴァさんの人生を80年前に引き戻した。変わったことがあるなら、子どもの頃には空爆のサイレンが鳴るやいなやテーブルの下に走って行くことができたが、今は年を取って地下バンカーに走っていくことができないことだ。「砲撃の音が聞こえても、アパートの中にいて爆弾が私を殺さないことを祈るだけ」

米国、欧州のユダヤ人団体によると、ウクライナにはツラブリオヴァさんのように再び戦争のトラウマに苦しむホロコースト生存者が1万人ほど暮らしている。そのうち少なくとも500人は身動きが不自由で、事実上、家に閉じ込められている。このため、世界各国のユダヤ人団体が彼らの避難を支援するために動き出した。ツラブリオヴァさんも、これら団体に説得され、避難を決意した。

ツラブリオヴァさんの目的地は偶然にも、彼女に癒えることのない傷を与えたドイツだった。フランクフルトのある介護施設に到着したツラブリオヴァさんは27日、AP通信に、「ドイツが過去から教訓を得て、今は私たちに善いことをしている」と話した。

キエフにいたホロコースト生存者、ガリナ・ウリャノヴァさんとラリス・チュエンコさんも、ツラブリオヴァさんと同じ救急車に乗ってドイツに避難した。身動きが不自由なウリャノヴァさんは、何と8年ぶりに8階の自宅アパートの外に出た。2人の支援者がウリャノヴァさんを担架にのせて階段を降りた。

糖尿病を患っているチュエンコさんも、救急車でインスリンを投与しながら、フランクフルトに到着するまで26時間耐えた。「幼い頃、母親とウズベキスタンに疎開した。食料はまったくなく、大きなネズミが多くてとても怖かった。すべてのドイツ人は悪人だと思ったが、今は私たちに先に手を差し伸べてくれる」


任寶美 bom@donga.com