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世界最長のつり橋とチャナッカレ

Posted March. 29, 2022 08:52,   

Updated March. 29, 2022 08:52

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3月18日、世界最長のつり橋が韓国企業によって竣工した。橋がかけられたダーダネルス海峡は、ゲリボル半島と小アジア半島の間にある地峡だ。古代からアジアと欧州の境界だった。チャナッカレは、この海峡を渡る際の重要な船着場で、フェリーが運航された。15分ほどで渡ることができる長くない海峡なのに、橋をかけることは容易でなかった。幅は狭いが水深が非常に深い。そのおかげで、青い海は非常に美しく、巨大な貨物船や吃水が深い軍艦が容易に航海することができる。

この海峡は、黒海と地中海を結ぶ唯一の通路だ。ダーダネルスを封じ込めれば、黒海は湖になってしまう。このような事情を考慮すると、橋は十分に高くなければならないため、つり橋の他には方法がなかったのだろう。重要な交通の要衝であり、多くの戦争を記憶する所でもある。ペルシアの皇帝ダレイオス2世は、この海峡に船橋を作って渡り、ウクライナ地域に入ったが、遊牧民族に敗れ、まかり間違えば永遠に帰って来ることができないところだった。息子のクセルクセスも、100万の大軍を率いてこの海峡を渡ってギリシャに侵攻した。海峡に波が打ちつけると、海に罰を与えると言って水面をムチ打ったクセルクセスは、実際に渡る際には通行料として黄金の器を海に投げ入れた。20歳のアレクサンドロスのペルシア征服も、この海峡を渡って始まった。

チャナッカレの西側にはトロイがある。ペロポネソス戦争当時、戦争の勝敗を変えた2度の重要な海戦がこの海峡で起こった。チャーチルの生涯の屈辱となった第1次世界大戦でのガリポリの戦いの場所もここだ。英国の海軍とオスマン帝国の海軍は、潜水艦まで動員して激戦を繰り広げた。紀元前から現在まで、このように巨大な戦争の記憶を持つ場所がほかにあるだろうか。トルコ訪問でチャナッカレは印象深いところだった。戦争の記憶は跡形もなく、浜辺は明るく美しく活気に満ちていた。数千年の念願だった橋を韓国企業が架設した。この橋が軍事用ではなく繁栄と平和のための掛け橋になることを願う。だが、この海峡の先の黒海には今、砲煙が立ち上っている。

歴史学者