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大統領執務室の龍山移転が心配される理由

大統領執務室の龍山移転が心配される理由

Posted March. 21, 2022 08:22,   

Updated March. 21, 2022 08:22

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尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が20日、「大統領府の大統領執務室を龍山(ヨンサン)国防部庁舎に移転する」とし、「龍山移転」を明らかにした。現大統領府は新政府発足と同時に市民公園として国民に返すとした。指示棒を持って90分近く龍山移転を説明した尹氏は、「難しいことだが国家の未来のために下した決断」と明らかにした。

「大統領府空間の閉鎖性を打破する」という尹氏の意志そのものを過小評価するつもりはないが、今回の決定は残念だ。龍山移転が果たして適切かという問題だけではない。この問題をめぐって考えなければならない国家的課題が1つや2つでないが、大統領室移転の決定をそれほどまでに急ぐ必要があるのかという懸念と批判の声が多い。にもかかわらず、「光化門(クァンファムン)時代を開く」としていたが、突然龍山が代案として急浮上し、賛否の論議が起こると、勝負に出るかのように正面突破を選択したように映った。

 

尹氏は、「光化門への移転は市民にとって災いのレベル」とし、龍山移転が避けられないことを詳細に説明した。警護と移転費用の問題、市民のアクセスなど現実的な面で理解できる部分もあるが、反対意見も少なくない。政権交代期、北朝鮮の動きが懸念される状況で、国防部・合同参謀の連鎖移動で安保空白を招く恐れがあるうえ、国家指揮部と軍指揮部が一つの空間にある場合、敵の攻撃の格好の目標になりかねないという歴代合同参謀議長の懸念も提起された。大統領府の地下バンカーにある国政全般に対する指揮統制システムを再び構築しなければならない問題もある。移転費用が約500億ウォンで十分なのか、予備費を使うことが正しいのかについて論議も出てくる。

尹氏は、「一旦大統領府の境内に入ると、大統領府から脱することは一層難しくなると判断した」と述べた。間違った話ではないかもしれない。「光化門大統領」を約束し、警護論理、安保論理で行き詰って断念した文在寅(ムン・ジェイン)大統領が端的な例だ。そうだとしても、後任大統領の執務空間にもかかわる重要な問題だ。大統領府が「帝王的権力」の象徴ということは改めて指摘する必要もなく、どのような形であっても変わらなければならないということに異議を唱える人はいない。もっと十分な公論化、国民の意見を聴く過程が必要だった。龍山移転のほかに、1、2年かけて現大統領府の一部を開かれた空間に改修する案もあり得た。「大統領府解体」という一種のドグマに陥ったのではないか。焦りがあるようで心配される。