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笑う男、笑えない女

Posted March. 17, 2022 09:01,   

Updated March. 17, 2022 09:01

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人生は苦しければ苦しいほど、笑いが必要だ。ビクトル・ユーゴーの言葉だ。ユーゴーより200年前に生きていた画家ユディト・レイステルも、同じ考えだったようだ。彼女が20歳の時に描いた絵には、「笑う男」が登場する。笑う肖像画が珍しかった時代、彼女はなぜ笑う男を描いたのか。

レイステルは、17世紀のオランダの黄金時代に活動した女性画家だ。ハールレムの醸造業者の第8子だったが、父親が破産したため、家族の生計のために絵を描き始めたという。優れた才能で19歳の時から注目を受け、24歳の時、女性初のハールレム画家組合に登録し、専門画家として活動した。この絵は、レイステルが自分の名前で初めて署名した作品の一つだ。長い毛のついた滑稽な帽子をかぶった男は、当時人気だった喜劇の中の道化師だ。道化師は本来、人々を笑わせるために笑うだけで、自らは笑わない。顔は笑うが、彼の心は泣いているかもしれない。辛い時に、一番簡単に慰めを得る方法はお酒だろう。空のボトルを持った男はすでに酔っているのか、頬と鼻が赤い。お酒がすべてなくなったということは、ショーが終わったという意味だ。

女性には正規の美術教育も、専門の職業も許されなかった時代、レイステルは男性一色の美術界で認められるために、絵の顧客を得るために毎日奮闘しただろう。その人生が容易ではなかったことは、想像に余りある。若い女性画家が、酒に酔って笑う道化師を描いたのは、酒に癒されながら公に笑う道化師の人生がむしろ羨ましかったからではないだろうか。

この絵は、同じ都市で活動した巨匠、フランス・ハルスの絵から影響を受けたものと見られる。彼女はハルスと同じくらい成功することを夢見ていただろう。残念ながら、その夢は叶わなかった 結婚後、5人の子どもの世話をする間は作品活動はほとんどできず、死後は名前も完全に忘れられた。さらにひどいことに、彼女の優れた作品は、19世紀末までにハルスの絵画と見なされていた。

美術評論家