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ウクライナの戦場に平和の旋律を伝えるピアノマン

ウクライナの戦場に平和の旋律を伝えるピアノマン

Posted March. 11, 2022 08:52,   

Updated March. 11, 2022 08:52

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ウクライナ避難民と避難車両が列をなすポーランドのメディカ検問所。7日(現地時間)、美しいピアノの旋律が鳴り響くと、避難民が集まった。演奏者は、ドイツのピアニスト、ダヴィデ・マーテロ氏(40)。マーテロ氏は先月24日のロシアの侵攻後、ウクライナ西部と国境を接するポーランド東部の国境検問所を回って、避難民のために演奏している。

マーテロ氏は同日、東亜(トンア)日報に、「起きてはならないことが起こっている」とし、「音楽でウクライナの人々を慰めるために来た」と話した。零下5度の寒さで手は凍えたが、情熱的な演奏は続いた。

マーテロ氏は、「この曲は平和を考えて弾いた。プーチン大統領に平和のメッセージを送る。心を開かなければならない」と述べた。避難民は彼を「国境のピアノマン」と呼んでいる。

ドイツ南西部レラハのイタリア系ドイツ人の家庭で生まれたマーテロ氏は、中部テューリンゲンで学生時代を送った。しばらく一般的なピアノ演奏会で演奏したマーテロ氏は、ある日、テレビで戦争惨状を経験している人々を見て決心した。戦争と災害で困難に直面した人々のために演奏しなければならないと。

マーテロ氏は、グランドピアノを野外でも演奏できるよう改造し、スピーカーとアンプのような装備も取り付けた。そしてピアノをトレーラに載せ、喪失感で眠れない人々が集まる所を訪れた。

2012年にはアフガニスタンで演奏した。14年にロシアがクリミア半島を併合し、ウクライナ政府軍と親ロシア反政府勢力の間に内戦が発生した東部ドンバス地域をまわってピアノを弾いた。130人が死亡した15年のパリ連続テロ、20年に警察の過剰鎮圧で死亡した米黒人男性ジョージ・フロイド氏のためのデモ現場でも演奏した。その際、軍人や警察にピアノを押収されたこともあった。

それでもマーテロ氏の演奏活動が続くと、欧州議会は、「人類愛と協力という共同の価値の増進に貢献している」と支持を表明した。「危険なところを選んで演奏しているのではないか」と尋ねると、マーテロ氏は「私の人生の目標は音楽で傷ついた人の心を癒すことだ。明日も別の検問所で会おう」と話した。


金潤鍾 zozo@donga.com