Go to contents

超越的世界

Posted March. 10, 2022 08:35,   

Updated March. 10, 2022 08:35

한국어

世の中には、両立しないものがある。生と死、昼と夜、勝者と敗者のようにだ。超現実主義の画家ルネ・マグリットの考えは違った。彼は、反対の属性を持った対象を1つの画面に同時に描くことがあった。彼の晩年の代表作である「光の帝国」でも、昼と夜が同時に存在する。画家はなぜこのような絵を描いたのだろうか。

ベルギー生まれのマグリットは、パリとブリュッセルで活動し、超現実主義運動の先頭走者として活躍した。美術学部を卒業後、商業美術家として活動した彼は、時々印象主義と未来主義、立体派画風の絵を描いてキャリアを積んだ。そして1920年、ジョルジョ・デ・キリコの絵に接した後、超現実主義の画家に転向した。彼の絵は、日常的な対象を予期せぬ大きさと方法で、一つの画面の中に並べて好奇心を呼び起こすのが特徴だ。この絵は、彼が1948年から死ぬまで約20年間打ち込んでいた「光の帝国」の連作の一つだ。木のある静かな住宅街の夜の風景の上に、真昼の青空が描かれている。昼と夜が共存する世の中だなんて!現実ではありえない風景だ。それでも、夜の都市と昼の空を結ぶつながりはある。窓の中から発散する光と街中の街灯の光が、絵の外のどこかにある太陽の光と繋がっている。マグリットは、同じテーマで計27点を制作したが、そのうち1点は、3月2日、ロンドン・サザビーのオークションで7795万ドルで売れた。彼の作品の中で、史上2番目の最高値だった。

マグリットの絵は、時間と理念、常識を超えた世界へと鑑賞者を導く。彼の絵の中には、昼と夜、光と暗さ、自然と人工、希望と絶望が共存する。現実では絶対に両立できないことが、平和に調和を成す。超現実的だが、理想的な世界でもある。死ぬまでこのテーマに執着したマグリットは、最後の作品を最後まで完成できずに、目を閉じた。もしかすると、そんな超越的な世界はないから、一生を夢見て描いたのかもしれない。