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ロシア空爆時、ピアノを弾いたウクライナ少年が話題

ロシア空爆時、ピアノを弾いたウクライナ少年が話題

Posted March. 03, 2022 08:33,   

Updated March. 03, 2022 08:33

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ロシアがウクライナを侵攻した先月24日、ロシアと国境を接したウクライナの大都市ハリコフのあるホテル。米紙ワシントン・ポストの報道カメラマン、ホイットニー・リーミング氏は、ロシア軍の爆撃で空爆警報が鳴ると、現場取材のために客室を出た。

 

その時、どこからか沈鬱だが落ち着いたピアノの音が聞こえてきた。リーミング氏は音がどこから聞こえてくるのか探そうと廊下を歩き、1階を見下ろした。誰もいないホテルのロビーにある白いピアノの前に少年が座っていた。リーミング氏は直ちにカメラを取り出し、少年の演奏の様子を撮った。彼が演奏していた曲は「Walk to School」。2020年、アマゾンプライムのSFドラマ「ザ・ループ TALES FROM THE LOOP」に挿入されたOSTだった。

ロシア軍の爆撃による混乱した状況で黙々とピアノを演奏する少年の姿は関心を集めた。リーミング氏が同紙のインスタグラムに掲載した少年の映像は、1日までにアクセス数900万回を超え、拡散した。多くの人が、ホロコーストでのユダヤ人ピアニストの話を扱った映画「ピアニスト」を想起した。「沈没する船で楽団が演奏を続ける映画『タイタニック』のワンシーンのようだ」、「心がとても痛い」など2千個を超えるコメントが寄せられた。

このニュースは少年が演奏した「Walk to School」の作曲者にも伝えられた。この曲は、ミニマル・ミュージックの大家である作曲家フィリップ・グラス氏(85)とポール・レナード=モーガン氏(48)の共同作品だ。グラス氏は1日、「この音楽が政治的な作品になるとは一度も考えたことはなかったが、そうなった。罪のない人々が、私たちが絶対に向き合うことを願わない困難を経験している」と悲痛な心情を伝えた

共同作曲家のレナード=モーガン氏も、映像を自身のツイッターに共有し、「誰かが人生の最もおぞましい瞬間に、私たちの音楽で慰めを受けたということに言葉にできない感動を受けた。少年が歌で慰めと希望を見出したかどうかわからないが、音楽はすべての境界を越える力がある」と強調した。

ピアノを演奏した少年が誰なのかはわかっていない。リーミング氏は、「取材のために数分後にホテルを出た。その後、少年と彼の家族に会うことはできなかった」と話した。


任寶美 bom@donga.com