Go to contents

梅花の気品

Posted February. 18, 2022 08:37,   

Updated February. 18, 2022 08:37

한국어

花が消えた冬の東山の寂しい風景の中で詩人の目を引いた梅花。葉と枝と香りが水墨画のように簡潔で寡黙だ。小川の水にまばらに暗い影を落とし、夕方の月の光の下、ひそかに香りを放っている。この穏やかな余白の美に近寄る詩人の心は、果てしなく微笑ましい。ついに詩人は、梅花の姿とおもむきをより劇的に表わそうとして奇抜な想像力を動員する。シラサギが訪れたなら、降り立つ前にその美しい姿をチラッと見ただろうに、冬とは縁がない蝶々が梅花の存在を知ったなら、恐らく我を忘れなかっただろうか。如何せん、騒がしい音楽や酒の席がなくても、ただ詩を詠じることだけで意気投合できる梅花とは、詩人にとってどれほど幸いな好事だろうか。

「雪が山中に満ちている時は君子が臥しているようでもあり、また月が明るい夜には、林の下を美女がやって来たかのようでもある。」(高啓「梅花」)と詠ったように、梅花は過去のソンビ(学識が優れて礼節があって義理と原則を守って権力と富裕栄華を貪らない高潔な人柄の人を指す用語)にとって物質としての花というよりも高潔な気品を持つ人格体に相違なかった。退渓は、「梅兄」とも呼ばれた。寒天に耐えて「生涯寒さの中で暮らしても香りは売らない」(申欽)その孤節に似ようとする意志は、ソンビなら誰でも抱いた長年の欲望だった。

成均館(ソンギュングァン)大学名誉教授