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票になる公約ならなんでも盗み合う大統領選候補たち

票になる公約ならなんでも盗み合う大統領選候補たち

Posted January. 18, 2022 08:30,   

Updated January. 18, 2022 08:30

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大統領選候補らが、票に役立つと判断すればライバル候補の公約でもためらいなく採用する「公約泥棒」が度を越えている。与党「共に民主党」の大統領選候補、李在明(イ・ジェミョン)前京畿道(キョンギド)知事が昨年末、兵士の月給を200万ウォンに引き上げる国防公約を発表すると、保守派の最大野党「国民の力」の大統領選候補である尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長は今月、「兵士月給200万ウォン」という公約を出した。反対に、尹氏が昨年8月、民間の再建築容積率を500%に引き上げる「駅近の初めての家」公約を提案して5ヵ月後に、李氏は容積率500%の4種住居地域新設案を明らかにした。中道派野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補が12日、ある講演会で出した京仁(キョンイン)線および京仁高速道路地下化公約は、李氏と尹氏が以前に発表した地域公約と重なった。 

 

題名の盗作、核心アイディアの盗作、全体内容の盗作など公約の盗用があまりにも多発しているため、公約だけ見ると誰のものか区別できないほどだ。大統領候補が他人の公約を無差別に採用することは、政治哲学や所信なく支持率を少しでも上げることだけを考えるためだ。特定の地域や階層が関心を持つ政策を公約にむやみに採用するため、新規公約が自身の既存の政策に反する自己矛盾が現れている。

盗んだ公約やつぎはぎの公約が乱発されれば、国家全体で見ると政策の優先順位が歪み、方向感覚が失われることになる。大統領選後、当選者の公約の多くが政権の最優先課題に浮上し、効率的な国政運営の足を引っ張ることになる。お粗末な公約が国家核心政策に化け、無理に推進されることで、財政と資源の浪費を招くことになる。

盗んだ公約が乱発されると、政権獲得後に無理に政策を推進することになるだけでなく、多くの公約が守られないという問題が同時に発生する。経済正義実践市民連合が明らかにした大統領選公約の履行率は、朴槿恵(パク・クンへ)政権4年目で41%、文在寅(ムン・ジェイン)政権任期半分の時点で18.3%にとどまった。公約履行の意志と政治力の不足、公約の曖昧性などが低調な実績の直接的な原因だが、何よりも多くの公約を処理する物理的時間と金が不十分なためだ。盗んだ公約が既存の課題と衝突した結果、公約が失敗に終わり、期待した国民は政界に裏切られたと感じる悪循環が繰り返されることになる。ビジョンのない「盗んだ公約」争いはただでさえ深刻な政治不信を増幅させるだけだ。