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愚かな熊よりは敏捷な虎のように

Posted January. 10, 2022 08:28,   

Updated January. 10, 2022 08:28

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「熊は、虎より力は数倍強いが、虎に出くわすと捕らわれる。虎は敏捷で、熊は愚鈍であるからだ」(後略)(青城雑記より)

朝鮮後期の学者、成大中(ソン・デジュン、1732〜1809)の言葉だ。後略したところを要約すると、熊は虎よりはるかに強い力で枝を簡単に折って振り回すが、虎があちこち避けたため、力が尽きて、結局捕まってしまうという。文の末尾で、成大中は、「熊の死は、まさにその力のためだ」と力説した。とあることにおいて優位を占める原動力は、「パワー」よりは「スピード」、「愚直」よりは「明敏」であるかもしれないという教訓だ。世の中には、愚公移山の固い意志だけでは解決できない困難も存在する。熊がいくら愚直に鉄槌を振り回しても、素早い虎が撃たれて死ぬ確率は極めて低い。

壬寅年、黒い虎の年が到来した。虎の展示会が相次いで開催され、韓国造幣公社の虎の銀メダルをはじめ、様々な虎マーケティングが注目を集めている。実際、虎は韓国で、12干支の動物以上の魅力を誇っている。遠くは檀君(タングン)神話の虎から、近くは1988年のソウル五輪の「ホドリ」と平昌(ピョンチャン)冬季五輪の「スホラン」まで。韓民族を代表するシンボルであり、マスコットとしていつも虎が登場してきた。

韓国人のせっかちな性格を皮肉る代表的な言葉として、「パリパリ(早く早く)」が挙げられる。この「パリパリ」は、パラダイムが急変する時代に、一つの生存戦略として急浮上したと思う。コロナ禍のなかでできたドライブスルーの選別診療所(PCR検査所)は、韓国の「パリパリ」が前向きに働いた成果として挙げられる。この「パリパリ(スピード)」に鋭さが加われば、虎の素早さと同じ意味とみなすことができる。遠い先のパンデミックのトンネルを無事に通過するために、熊のように力だけを前面に押し出す不条理を打破するために、私たちに必要なものは何か。ほかならぬ「鋭敏なスピード」だ。