Go to contents

軍の警戒と脱北者管理に穴、「ウェルビーイング安保」が生んだ総体的失敗

軍の警戒と脱北者管理に穴、「ウェルビーイング安保」が生んだ総体的失敗

Posted January. 05, 2022 08:24,   

Updated January. 05, 2022 08:24

한국어

新年早々、東部戦線最前方の鉄柵を乗り越えて越北したのは、一昨年末に同じ部隊の鉄柵を越えて亡命したいわゆる「ジャンプ亡命」の脱北者と把握された。同じ人物がまるで自分の家を出入りするかのように脱北と越北を繰り返し、軍の警戒を無力化したのだ。さらに、この脱北者は昨年6月、海外旅行の方法を問い合わせるなど越北の動きを見せ、警察庁に2度も報告された管理対象者だったという。軍の警戒はもとより脱北者の管理にも穴があいたことがうかがえる。

呆れた警戒の失敗は、規律が総体的に崩壊した韓国軍の現住所を如実に表わした。該当部隊は、鉄柵の監視カメラにこの越北者の姿が2~3度映ったものの気づかず、鉄柵監視センサーが鳴って迅速措置チームが出動したが、現場に鮮明に残された足跡すら発見できず、「異常なし」と報告したという。先端科学化装備と監視態勢を誇ってきた韓国軍は、越北者には嘲笑の対象だったのだ。

軍と政府は、この越北者に北朝鮮スパイ活動といった疑いはなかったと明らかにしたが、軍事境界線を越えた後、3人の北朝鮮軍が出迎えるように連れて行くなど、釈然としないことが少なくないのも事実だ。さらに、警察が越北の兆候を事前に把握しても特段の措置を取らなかったことが明らかになった以上、この1年の間、韓国内の行動をしっかり把握していたのか疑問だ。脱北者管理システムの全面的な見直しが必要な理由だ。

軍と政府は今回も「換骨奪胎」云々し、責任者の問責と補完策づくりを誓うだろう。しかし、度重なる泥縄の振る舞いに、国民は首を横に振るほかない。相次ぐ警戒の失敗は、現政府になって南北和解ムードが造成され、社会全般に広がった安保不感症と無関係ではない。特に、軍隊にまでウェルビーイングの風が吹き、指揮部から第一線まで規律が緩むだけ緩んだ。安保意識を正して気を引き締めなくては、同じ失敗が繰り返されるだろう。