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準備なしに見切り発車する重大災害法、無念に刑務所入りするCEO量産は避けられない

準備なしに見切り発車する重大災害法、無念に刑務所入りするCEO量産は避けられない

Posted December. 28, 2021 08:06,   

Updated December. 28, 2021 08:06

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重大災害処罰法の施行を1カ月後に控え、企業各社が恐怖を訴えている。中小企業の半分以上は、法律を守るのは不可能だと自暴自棄になっており、大手企業も目立った対策がとられておらず、戦々恐々としている。にもかかわらず政府は、「問題が生じれば、その時に直せばいい」という具合に推し進める構えだ。

今年1月に国会で可決された同法は、来月27日に50人以上の事業所で施行される。死亡者が1人以上、6カ月以上治療が必要な負傷者が2人以上などの重大災害が発生すれば、安全措置の義務に違反した経営責任者は、1年以上の懲役または10億ウォン以下の罰金に処される。刑事処罰の下限を決めて企業家を処罰する法で、世界でも類を見ない。

経営者がどのような義務を果たせば罰を免れるか定かではない同法は、制定当時から「罪刑法定主義」の原則に反するという批判を受けていた。政府は、「施行令を通じて明確にする」と明らかにしたが、施行令が出された後、混乱がさらに大きくなった。処罰対象が大企業のオーナーなのか、系列会社の代表なのか、安全保健責任者なのか不確実で、経営者が守るべき義務も「安全保健人材が忠実に業務を遂行できるようにせよ」という具合に、施行令の内容も曖昧なのは同じだ。

これから起こる状況を予測できないため、大企業は最高安全責任者などの役員の座を「銃弾受け」にし、中堅・中小企業は事故が発生すると、代わりに処罰される雇われ社長を立てている。外国企業の韓国支社長のポストは、事故が発生すれば帰国もできず、韓国の刑務所に入れられるという理由で忌避ポストになったという。公共部門でも、処罰対象である政府省庁の長官や庁長、地方自治体の首長、公企業の社長らが万が一に備えて、盾組織を作っている。建設会社各社は、労働者の過失で発生した事故まで、経営者が引き受けることを懸念し、現場に監視カメラを設置する。中小企業中央会によると、中小メーカーの53.7%は「義務事項遵守は不可能」と答えた。

労働者の命と安全を守るという法の趣旨に反対する企業はない。しかし処罰を避ける方法さえ分からない法律は、「運悪く」刑務所に入れられる企業家だけを量産するだけで、産業現場の安全水準を実質的に改善することは難しい。政府と政界は、手遅れになる前に、企業の訴えに耳を傾けなければならない。必要なら、施行を数年遅らせてでも、過度な刑事処罰から課徴金などの行政制裁に切り替え、抽象的な法令内容を明確に補完し、無念に処罰を受ける企業家が出ないようにしなければならない。