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PCR検査を回避する「ステルス・オミクロン株」登場

PCR検査を回避する「ステルス・オミクロン株」登場

Posted December. 09, 2021 09:08,   

Updated December. 09, 2021 09:08

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新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の新しい株である「オミクロン株」の一種であるにもかかわらず、既存の遺伝子増幅(PCR)検査では他の株と区別できないウイルスが新たに確認された。このウイルスに感染すれば、診断検査で新型コロナの陽性判定は出るが、オミクロン株の有無を把握するのが難しいため、各国の保健当局が緊張している。

英紙ガーディアンやフィナンシャルタイムズ(FT)などによると、現在広く使われている新型コロナのPCR検査で、他の株と区別できない「ステルス(stealth)」オミクロン株が登場した。各国の保健当局は、たいていPCR検査で新型コロナ遺伝子のうち一つ(スパイク遺伝子)が検出されなければ、オミクロン株である可能性が高いと判定してきた。これは世界保健機関(WHO)も認める方式で、各国が比較的迅速にオミクロン株の可能性の高い検体を選り分けるのに役立った。

しかし報道によると、この「ステルス」オミクロン株はこうした特性がなく、PCR検査で従来の株と差別化されない。この株がオミクロン株かどうかを確認するためには、ヒト全ゲノムシーケンス解析検査などをしなければならないが、時間がかかるだけでなく、新型コロナの陽性検体すべてに対して行うのは現実的に容易でないという問題がある。特に貧国の場合にはステルス・オミクロン株が拡散すれば、追跡が非常に難しくなるものと予想される。英インペリアル・カレッジ・ロンドンのウイルス遺伝学者、ポール・ケラム教授は、「オミクロン株の判定をスパイク遺伝子検出の可否(PCR検査)だけに依存している国は、この株の拡散を追跡するのに難航するだろう」と語った。

ステルス・オミクロン株は、南アフリカと豪州、カナダの感染事例の7件以上で発見された。まだ伝播力や重症誘発程度、ワクチン免疫回避の有無などについては明らかにされていない。一部の科学者らは、既存のオミクロン株を「BA.1」、ステルスオミクロン株を「BA.2」に区別しようと提案した。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン遺伝学研究所のフランソワ・バル教授は、「『BA.1』と『BA.2』は遺伝的にかなり変化したもので、互いに違う行動をすることができる」と語った。


趙鍾燁 jjj@donga.com