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李在明氏の労働取締役制は公企業の既得権を強化するだけだ

李在明氏の労働取締役制は公企業の既得権を強化するだけだ

Posted November. 24, 2021 08:28,   

Updated November. 24, 2021 08:28

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与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)大統領選候補が、韓国労働組合総連盟(韓労総)の指導部と会った席で、公共機関労働取締役制の導入について、「決断さえすればいいし、当然すべきだと思う」と述べた。野党が反対すれば、与党単独で関連法案を処理すべきだという意見も明らかにした。1週間前も李候補は「公共分野に、準公共機関に拡大し、後は民間領域に労働取締役制を導入しなければならない」と述べた。李候補の要求に民主党は「通常国会内で支障なく推進する」と答えた。

公共機関の労働取締役制は、公企業の労働者代表が取締役会に参加して発言権と議決権を持って意思決定に参加する制度だ。文在寅(ムン・ジェイン)政府の大統領選挙公約で、100大国政課題にも含まれたが、政府内でも反対意見が少なくなく、中央公共機関の中には導入された所がなく、ソウル市、京畿道(キョンギド)などの地方公共機関にだけ導入された。労働界は、この制度が公共機関の透明性を高めるとしているが、経営界は福利厚生の要求は増え、経営の効率性は悪化すると懸念している。

特に、民間企業にこの制度が拡散すれば、労使間の力のバランスが崩れ、企業の革新が難しくなり、株主たちの権利が侵害されるという懸念が少なくない。労働界、与党が制度のモデルとしているドイツは韓国とは違い、合理的労使関係が定着し、労働者代表が参加する「監督取締役会」と最高経営者が主導する「経営取締役会」が分離している。このような状況で、李候補が「公共企業労働取締役制義務化法案」を急いで可決させるべきだと要求したのだ。

現政府に入り、各公共機関は再生可能エネルギーの強化など、政府政策の負担を肩代わりし、業績が大幅に悪化した。大型公共機関のうち半分は、利益で借金の利子も返済できない状態となっている。場合によっては、国民の税金で埋めなければならない公企業の負債が、国の借金の60%に迫る。「非正規職ゼロ政策」により、下請会社の職員を正社員に無理矢理転換させた後遺症で、大卒新入社員の採用規模を減らしたところも少なくない。

身を削る経営革新が必要な各公共機関の構造改革を困難にする制度の導入を、与党の大統領候補が推し進めるのは無責任だ。選挙で労働界の支援を受けるため、公企業労組の「既得権」だけをさらに堅固にするという批判は避けられないだろう。