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「コロナでバブル崩壊」予言した黙示録

Posted August. 21, 2021 08:21,   

Updated August. 21, 2021 08:21

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「コロナ黙示録」のようなものがあるなら、恐らくこの本だろう。本を見て、著者が現職の経済学教授であることを何度も確認した。学者が書いた本にしてはあまりにも断定的で挑発的な内容を含んでいるからだ。しかし、読み進めるほど著者の論理にうなづける妙な魅力がある。

著者は、日本の大蔵省(韓国の企画財政部に相当)官僚を経て、慶応大学経営大学院教授に在職している。経済理論と現実を広く経験したわけだ。題名が暗示するように、著者はバブルと崩壊そしてこれを克服するためのさらなるバブルの連続という観点で世界経済を眺めている。いわゆる「バブル・アフターバブル」だ。

コロナ禍の局面で実体経済のバブルが最終局面を迎えると著者は主張する。各国がパンデミック克服のために金融、財政政策を出し尽くしているからだ。一口に言って、景気刺激のための実弾が完全に枯渇するという話だ。これで冷戦終息後30年にかけて続いたバブル拡大局面は終わることになる。著者は、コロナ後の経済の沈滞は一種のバブル安定期で数十年続く可能性があると見通す。

これと相まって著者が最も懸念するのは、感染対策にともなう経済封鎖と大規模な現金給付が生む財政破綻だ。著者は、日本政府の財政崩壊を確信した口調で予言している。そして、財政破綻後に増税をするのか、さもなければ政府支出を減らすのかなどの細部のシナリオを事前に組んでおかなければならないと助言する。災害支援金など日本と類似の感染対策、経済対策を打ち出した韓国も、これと無関係ではないだろう。

 

著者は、コロナ禍の局面で日本政府が生命論理に埋没し、過度な感染対策で一貫したと批判する。費用対効果についての議論が封印され、感染防止対策にだけ没頭したということだ。日本社会全体が非理性的な「思考停止」状態に陥ったと指摘する。感染対策と経済の相反する目標の間で最大公約数を見出さなければならないすべての国に該当する話でもある。


金相雲 sukim@donga.com