
米マイクロソフト(MS)創業者のビル・ゲイツ氏が妻のメリンダ氏とともに2000年に設立した「ビル&メリンダ・ゲイツ財団 」の核心プロジェクトは、感染症や貧困に苦しむアフリカを支援することだった。本の題名にアフリカが言及された理由だ。
フランスのジャーナリストである著者が書いた同書の原題は「偽りの寛容の技術(L'art de la fausse générosité)」。著者は、韓国語版の序文に、「ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、公益の振りをして、裏では財団トラスト活動によって軍需産業や化石エネルギー分野、集約式農業および遺伝子組み換え作物、ファーストフード・チェーンを支援する」と書いた。ゲイツ氏については、「生物圏全体に害になるシステムを支持した。時代に逆行する『慈善資本主義』の典型的な人物」と批判する。
著者によると、ビル・ゲイツ財団は、MSが市場での独占的地位を乱用し、節税で作った「悪い金」でスタートした。財団の後援はアフリカの医療と農業部門に集中したが、MSはこれを通じてアフリカ進出の利益を得たということだ。財団の技術集約的農業支援が、数ヵ国の生物多様性に害を与えているとも主張した。
カナダ・トロント大学のアン・エマニュエル・ヴォン教授(保健政策学)は、同書の付録で、ビル・ゲイツ財団の世界保健活動の問題点を指摘した。バランスの取れた見解が多少もの足りないが、ビル・ゲイツ神話の裏を知りたいなら参考になる本だ。
金甲植 dunanworld@donga.com