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公正な審判

Posted June. 17, 2021 08:09,   

Updated June. 17, 2021 08:09

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文在寅(ムン・ジェイン)政府の最悪の政策として不動産が挙げられるが、教育政策もそれに劣らない。この4年間で住宅価格だけが高騰したのではなく、基礎学力未達者の割合も急上昇した。中学生が九九を覚えられず、英語で自分の名前も紹介できないほどだ。放っておけば、様々な人生の機会を享受できない子どもたちがあまりにも多い。政府は、新型コロナウイルスのせいにしたいだろうが、基礎学力の崩壊はコロナ以前から始まっていた。

この20年間の学業達成度評価結果を見ると、中学3年の数学基礎学力未達者の割合は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の中盤に急増し始め、2008年には12.9%に達した。李明博(イ・ミョンバク)政府はこれを3.5%(12年)にまで減らし、朴槿恵(パク・クンへ)政権から文在寅(ムン・ジェイン)政権に交代した17年に増加傾向(9.9%)となり、昨年には13.4%と歴代最高値を記録した。高校2年の数学基礎学力未達者も同様のグラフを描き、昨年13.5%になった。国語と英語も同じ傾向だ。

李政権時代に基礎学力が向上したのは、全国的に学業達成度を評価し、学校別の成績を公開し、成績が悪い学校には予算を大幅に支援して補充学習をさせたためだ。しかし、14年に進歩教育長が大挙当選して以降、創意教育を大義名分に成績の公開も、成績不振の学校への支援もうやむやになった。小学校の学業達成度評価は廃止され、中学校自由学期制が施行され、小学1年生から中学1年生まで試験がなくなった。現政権は、中学・高校まで標集評価に切り替え、基礎学力崩壊の実状に目をつぶっている。

 

公教育が本来の役割を果たせなければ、成績は生徒個人の「箸と匙の色」が左右することになる。経済協力開発機構(OECD)は加盟国の15歳の生徒を対象に3年ごとに「国際的な学習到達度に関する調査(PISA)」を実施し、親の学歴や所得水準などによる評価結果を公開する。韓国の家庭背景上位10%の生徒の読解の最下等級の割合は00年の2.1%から18年に6.3%だったが、下位10%の学生は16.3%から29.3%に急増した。10人に3人の割合だ。PISAの読解科目の成績は、生徒の最終学歴より将来所得を正確に予測する指標とされる。

階層別学歴格差が広がる傾向は、階層別私教育費の格差が大きくなる傾向と一致する。教育部によると、19年に所得上位10%の生徒1人当たりの月の私教育費は63万ウォン、下位10%は9万ウォンだ。自由学期制施行後、月所得600万ウォン以上の家庭は、学習塾の支出を増やし、その他の世帯は減らしたという調査もある。高所得の家庭では、「内申に神経を使わなくていい」として、試験がない自由学期制を喜んでいるという。

オバマ元米大統領が韓国の教育を羨んだことがあるが、米国は「落伍者防止政策」で韓国との学歴格差を縮めている。日本も09年に「ゆとり教育」を廃棄して学習量を増やしたことで、15年から韓国を追い抜き始めた。韓国の小中高校の教師は優秀な人材で15年間、教師の給与と学生1人当たりの公教育費いずれもOECD平均より高い。なぜ子どもたちだけが後退するのを放っておくのか。

もうすぐ夏休みだ。休みが終わった後、教室の風景は「箸と匙の色」によって分かれるという。ある家の子どもは背も伸び、成績も上がるが、貧しい家庭の子どもは、顔もやつれ、習ったことも忘れる。無能で無責任な教育政策の代価をなぜ貧しい家庭の子どもが受けなければならないか。公正な競争のスタートラインから遠ざかる子どものたちのために、政府は手遅れになる前に夏休みの学習支援対策から始めなければならない。