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母への手紙

Posted June. 09, 2021 08:13,   

Updated June. 09, 2021 08:13

한국어

深い悲しみを深い思惟に変える人たちがいる。デンマークの映画監督リスベト・ソンヒ・エンゲルストフもそのような人だ。氏は、デンマークの養父母の下で育った韓国人養子だ。彼女が母親を探すために韓国を訪れた時、あるシングルマザーから聞かれた。「養子として生きていくのは幸せですか?」。過酷で無礼な質問だった。母親に対する懐かしさで死にそうなのに、幸せでいられるものか。しかし、養子縁組をしようとするシングルマザーの苦しい顔が彼女をためらわせた。それで彼女は言った。「もちろんですよ」。子供を手放す未婚の母に配慮した返事だった。

19歳で自分を生んで海外に送った母親も、そのシングルマザーと同じ気持ちだったのではないだろうか。自分を捨てたのではなく、もっと良い所に送ろうとする気持ちではなかったのだろうか。彼女は、韓国人のシングルマザーら、いや、母親の気持ちをもっと知りたかった。氏が「母に書く手紙」という副題がついたドキュメンタリー映画「私を忘れないで」(フォーゲットミーノット)を作った理由だ。彼女はシングルマザーの施設で1年6カ月間滞在しながら、彼らの日常をカメラに収めた。そして、子どもを簡単にあきらめる母親はいないという事実を悟った。彼らは子育てを望んでいた。しかし、社会が容認しなかった。彼らの親すら容認しなかった。

監督は、彼らの姿を見て母親を理解することができた。母親に生まれたばかりの娘を海外に養子縁組させるよう強要したのは、結局、韓国社会だった。20万人にのぼる子どもたちを海外に送ったのも、韓国社会だった。「一人の子供を育てるには、村じゅうが必要だ」というアフリカのことわざに照らしてみると、足りないのが韓国社会だった。そう考えると、母親がとてもかわいそうだった。ただでさえ会いたかった母にもっと会いたかった。彼女は、母親に見てもらいたい気持ちで映画を撮り、このように言った。「恨まないから、母も自分を恨まないでください。愛しているよ、永遠に」。自分に会いたくもない母に向けた監督、いや娘の深くて暖かい心が驚異だ。