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手の温もりがこもった絵のような映画、「映画 えんとつ町のプペル」

手の温もりがこもった絵のような映画、「映画 えんとつ町のプペル」

Posted May. 31, 2021 08:20,   

Updated May. 31, 2021 08:20

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26日に上映したアニメ映画「映画 えんとつ町のプペル」は、約10年かけて制作された。2016年、日本で同名の絵本が先に発表された。一見すると絵本を原作にした映画のようだが、そうではない。絵本作家であり、映画制作の総指揮を務めた西野亮廣さん(40)は、東亜(トンア)日報とのインタビューで、「2011年に映画の脚本を先に書いた。絵本は映画のスピンオフ」と説明した。

原作が先で、スピンオフが後なのではなく、スピンオフが先で、原作が後というのが独特だ。西野さんは、「映画の場合、ストーリーが面白くなるまでに時間がかかる。しかし、絵の魅力は1秒で伝えられる。ファンでない人の視線を引きつけるには絵が必要だった」と話した。

 

西野さんの望みどおり、絵本は大ヒットした。日本で約70万部を突破するベストセラーとなった。叙情的なイラストが特に美しいという反応が多かった。これは、西野さんの独創的な作業方式に裏付けられたものだ。西野さんは4年かけて33人のイラストレーター・クリエイターと協力して絵本を作り上げた。西野さんがストーリーと概略的なスケッチを渡し、イラストレーター・クリエイターたちが細部の絵を描くやり方だ。

制作費はクラウドファンディングで調達した。西野さんは、映画でも温かみが感じられるように手描きの感じを生かした。昨年、日本で上映され、180万人の観客を動員した。

 

単純に絵が美しいという理由で本と映画がヒットしたわけではない。西野さんは、日本の月額会費制のWeb上のコミュニティ「オンラインサロン」を積極的に活用した。オンラインサロンの会員数1位(6万5千人)になった西野さんは、著作権を放棄し、ファンに無償で絵を配布した。ファンはこれを活用して日本各地で絵本の展示を開いた。2019年には、フランス・パリのエッフェル塔で日本人作家で初めて絵本の展示会を開催した。

昨年の映画上映の際、新型コロナウイルスの感染拡大で劇場が閉鎖されると、保育園などで映画観覧を望む子どもたちを募集する一方、SNSを通じて子どもたちに映画チケットをプレゼントしたいと思う大人を結び付けた。評判となったこの映画は、世界中の40以上の配給会社からオファーを受けた。

西野さんは19歳の時からコメディアンとして活動した特異な経歴の持ち主。「言語の壁を越えることができる領域に挑戦したい」という思いで、29歳で絵本作家になった。しかし、クラウドファンディングが大衆化していなかったので、一時は詐欺師扱いされ、日本で「好感度低い芸人」の烙印を押されることもあった。夢を話せば馬鹿にされる「煙突の村のプペル」の世界は、西野さんの経験を反映している。彼は「コロナ禍でも最善を尽くして夢を抱く人々を応援できればと思い、上映を延期しなかった。エンターテインメントの世界でアジアのリーダーである韓国で映画を上映することになり光栄だ」と話した。


キム・テオン記者 beborn@donga.com