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人生は雁の足跡

Posted April. 09, 2021 07:55,   

Updated April. 09, 2021 07:55

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蘇軾が若い頃、弟の蘇轍と共に科挙を受けに首都の開封に行く時、澠池という所を経由した。その時、2人はある老僧の僧房に泊まり、壁に詩を残した。後に官吏となった蘇軾が赴任地に行く時、蘇轍は蘇軾を見送った後、開封に戻って蘇軾に詩を送った。「澠池を懐かしんで兄に送る」という詩で、蘇轍は蘇軾の険しい旅程を心配し、「僧房の壁に一緒に詩を残した」と当時を懐かしんだ。再び澠池に立ち寄った蘇軾が、蘇轍の詩に応えて昔の思い出を詠ったのがこの詩だ。

人間の命などというものは畢竟何かといえば、雁が雪の上に残した足跡のようなものだ、ひとたびは爪跡ができるかもしれぬが、鳥が飛べば後には何も残らない。老僧は死んで塔婆となり、壁は崩れてかつて彫ってあった文字も見分けられぬ、君はあのときの苦しかった歩みを覚えているだろうか、道は長く人は苦しみ、ロバが脚を痛めて嘶いたことを。(世の中とはそのようなもの。弟よ、人生の心労焦燥のようなものは振り払い、ゆったりと世に向き合おう。)