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春の到着

Posted March. 11, 2021 08:25,   

Updated March. 11, 2021 08:25

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青い目の子供が、柳の枝で編んだ大きな木の椅子に座っている。手に持ったマグカップの中には、新芽が出た木の枝が一つ差し込まれている。子供の体は白い布団の布で覆われていて、髪の毛はくしゃくしゃになっている。寝床から起き上がったばかりなのか。タイトルを見ると、子供は今病気から回復中だ。

この絵を描いたヘレン・シャルフベックは、19世紀のフィンランドを代表する女性画家だ。貧しい環境で育ったが、優れた才能のおかげで11歳で奨学金を受け、フィンランド美術アカデミーに入学し、正式に美術を学んだ。この絵は26歳の時に描いたもので、当時、彼女は英国南西部のコーンウォール地域で冬を過ごしていた。コーンウォールは、美しい海辺と暖かい日差しで有名で、昔から画家たちに人気のある旅行地だった。シャルフベックは長い冬が過ぎ、春が始まる時期にこの絵を描いた。絵の中のモデルは、周辺の学校に通う幼い子供だ。ショートヘアと濃い色の服のせいで男の子に見えるが、実は女の子だ。学校の先生が手に負えないほど活気に満ちた子どもだったが、画家は絵の狙いに合わせて病気の子どもの姿で表現した。窓から差し込む明るい日差しと木の枝の新芽は春の象徴で、子どもが再び元気になることを暗示する。

実は、この絵には画家自身の病気の経験が投影されている。シャルフベックは4歳の時、階段で倒れて深刻な怪我をしたが、貧しさのために適時に治療を受けることができず、不自由な足で暮らしたが、これが生涯コンプレックスだった。また、この絵を描いた当時、婚約解消の傷から回復していたところだった。だから、体と心の傷からの回復を望む画家の意志を盛り込んだ絵なのだ。

厳しい冬を終えて春を迎えたいのは、画家一人だけの願いだろうか。春の到着と希望を伝えるこの絵は、制作されたその年にパリサロン展に出品されて好評を博し、フィンランドで展示後、国立アテネウム美術館に所蔵された。貧しさと障害、愛の傷に黙々と耐え抜いた画家には、春が与える最高のプレゼントだったのだろう。