Go to contents

塩より胡椒

Posted February. 09, 2021 07:42,   

Updated February. 09, 2021 07:42

한국어

最も基本的な香辛料(調味料)である塩でさえ、古代・中世ではありふれた値段が安い物ではなかった。城に戦略物資を備蓄する時も塩は必須品だった。商業と貿易でも主要商品だった。当然、塩の生産地は非常に重要な戦略的要衝地だった。

大航海時代の香辛料戦争は、塩戦争よりもはるかに大規模で国際的に起こった。胡椒は、古代ローマでも紹介されたが、この時は陸路で苦労して運ばれた。大航海時代が開かれ、東南アジアで生産される多様な香辛料が商船で輸送されるようになった。

香辛料の価格は時代と種類によって異なるが、胡椒、ナツメグ、シナモンなど代表的な香辛料は全盛期には金の値段に匹敵した。香辛料は欧州の強大国が海洋に投資するきっかけであり動力になった。アフリカ、インド洋を回って東南アジアまで艦隊を派遣するには途方もない費用と犠牲が必要だったが、そのためには単価の高い商品が必要だった。香辛料ほどこれに適した商品はなかった。

商人と軍人、海賊の区別がほぼなかった時代だった。欧州各国の船舶が東南アジアに現れ、香辛料の生産地と貿易権をめぐって戦争を行った。欧州各国同士戦ったこともあったが、原住民の王国、中国、日本の海賊まで加わる国際戦争が起こる。

塩とは違って香辛料はなくても生存に問題にならない。それでも塩よりもすさまじい国際的な紛争を引き起こした。後に「ナツメグがペストを予防する。万病に効く薬」などの大義名分がついたが、根本的にはそうだ。このようなアイロニーを私たちはどのように見るべきか。

人生を生きてみると、個人の人生は結局、衣食住の領域から抜け出すことができないようだ。衣食住は、初めは生存のための基本条件だが、次第に裕福な人生の条件になる。さらには、自己の誇示と権威のための要素となる。もっと立派な家、さらに優雅なインテリア、さらに豊かな食卓、それを追求すること自体も人間の基本的欲求であることは明らかだ。しかし、それが時には戦争にまでつながり、無慈悲な弾圧と卑劣な犯罪にまで広がる。