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トランプ氏に対抗したWP編集主幹、ペンを下ろす

トランプ氏に対抗したWP編集主幹、ペンを下ろす

Posted January. 28, 2021 08:20,   

Updated January. 28, 2021 08:20

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神父による児童への性的虐待やカトリック教団の組織的隠蔽を暴露し、米社会に大きな反響を巻き起こしたボストングローブの調査報道を指揮した、マーティン・バロン・ワシントン・ポスト(WP)編集長(67)が来月28日、辞任する。この報道は2003年にピューリッツァ賞を受賞し、当時の取材過程を描いた映画「スポットライト」は16年にアカデミー作品賞を受賞した。

WPによると、バロン氏は26日(現地時間)職員メモを通じて、「新たな出発をする時が来た」とし、「編集主幹は民主主義守護の面で大きな意味のある職責だった。私たちの義務は、真実を正し真実を言うこと」と辞任の弁を明らかにした。

1954年、フロリダ州、タンパでユダヤ系移民の子孫として生まれたバロン氏は、76年にマイアミ・ヘラルドでジャーナリスト生活を始めた。ニューヨーク・タイムズ、ボストングローブなどを経て、2013年1月にWPに合流した。9ヵ月後、会社を買収したアマゾン創業者、ジェフ・ベゾス氏(57)の支援を受け、会社を大幅に拡張した。

バロン氏の就任当時約580人だった記者の数は1千人以上に増えた。米国家安全保障局(NSA)の無差別個人情報収集などに関する報道でピューリッツァ賞を10回も受賞した。特に、紙新聞の代わりにオンラインを優先する戦略で世界言論界のデジタル革命を主導したという評価を受けた。現在、WPのデジタル専用購読者は100万人を超える。

17年、トランプ政権発足後、バロン氏の地位と影響力はさらに強まった。トランプ氏が自身に批判的なWPを「フェイクニュース」、「国民の敵」と蔑視したが、屈することなくトランプ政権の各種政策を辛らつに批判した。WPは17年、「民主主義は暗闇の中で死ぬ(Democracy Dies in Darkness)」という有名なスローガンを掲げ、トランプ政権の圧力にもかかわらず、政権批判的な態度を堅持した。

バロン氏は、神父による児童への性的虐待報道の時も外圧に屈しなかったことで有名だ。アイルランド系の人口が多いボストンで、様々な有力要人がカトリック教団全般に及ぼす悪影響を懸念して記事の掲載を妨害したが、動じることはなかった。映画の中で俳優リーヴ・シュレイバーが扮したバロン氏は、「こういうことを報道するのがジャーナリストか」という抗議に、「こういうことを報道しないのがジャーナリストか」と受け返した。

ベゾス氏はインスタグラムに、「あなたがWPの編集局を巨大で強力にした。あなたの知性と心を懐かしく思うだろう」と書いた。バロン氏の後任が誰なのかまだ明らかにされていない。


シン・アヒョン記者 abro@donga.com