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チキンで一番おいしい部位は?

Posted January. 16, 2021 08:26,   

Updated January. 16, 2021 08:27

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この本を読む前に準備する料理が一つあるとしたら、代表夜食メニューのチキンだろう。著者はチキン一羽を前にして、鳥類の進化史を説明する。なぜよりによって鶏かと聞かれると、精肉コーナーなどで丸ごと胴体を手にできる唯一の鳥類だからだ。

進化生物学の観点から見て、鶏の起源は恐竜だ。ティラノサウルスやベロキラプトルのような獰猛な二足歩行恐竜から出た。ところが、筋肉質のしっぽと重い体で急に空を飛ぶことはできないもの。恐竜から進化した爬虫類は長い間、空を飛ぶのに適した形に進化してきた。

特に鳥の体は、空を飛べるように不要な部分を取り除き軽量化された。飛翔と関係のない部位は最小限の機能だけを残して簡潔化され、重力の影響を減らした。一方、推進力を得るために、翼の先やあばらの筋肉は強化された。

チキンからも、飛ぶための進化の痕跡をうかがうことができる。代表的な部位が胸肉だ。鳥は体に対する胸の筋肉の割合が30%で、他の動物に比べて取り分け高い。鶏の胸の筋肉のおかげで、力強く羽ばたきができる。牛や豚の胸肉が単独部位として販売されないのは、哺乳類であるため、その部位が発達していないことによるものでもある。

鶏の足もそうだ。鶏は前を向いている3本の足の指と、後ろを向いている1本の親指を持っている。互いに反対方向に向かう足の指の形のため、鳥類は木の枝をつかむことが容易になった。鳥類が飛翔生活をし始めてから得た遺伝形質だ。

この本は、日本の有名鳥類学者が書いたが、鳥類の進化だけが扱われているわけではない。知って食べるともっと楽しい鶏についての常識を紹介する。著者は、出汁の材料である鶏骨についた肉を薦める。特に、背中の部位にある首周辺の筋肉がおいしいという。くちばしで餌を拾う鶏は、こまめに首を動かすが、この時筋肉に弾力が出て噛むほど深い味を出す。気になるなら、今日チキンを一匹注文してみるのはどうか。


キム・テヨン記者 beborn@donga.com