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若い米国の影、ジェロントクラシー

Posted January. 06, 2021 08:10,   

Updated January. 06, 2021 08:10

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米国は若い国だ。中央情報局(CIA)の『ザ・ワールド・ファクトブック』によると、3億3千万の人口の中位年齢は38.1歳で、主要国の中で最も若い。日本(47.3歳)、ドイツ(47.1歳)、イタリア(44.4歳)、カナダ(42.2歳)、韓国(41.8歳)フランス(41.4歳)と比較すると米国の若さが際立つ。

しかし、政治分野の高齢化は深刻な水準だ。3日に開院した第117代議会で、上院の平均年齢は64歳、下院は58歳。1981年の第97回議会で、上院の平均年齢は53歳、下院は49歳だった。40年で議会が10歳老けたのだ。

民主党と共和党の指導部はどうか。大統領職継承権第3位の民主党のナンシー・ペロシ下院議長、共和党のミッチ・マコーネル上院院内総務、民主党のチャック・シューマー上院院内総務らは皆70、80代。20日には、米史上最高齢の79歳の大統領まで就任する。高齢層が社会全般を掌握し、既得権を維持する政治体制を意味する「ジェロントクラシー(gerontocracy)」という用語が最近、米紙上を飾る理由だ。米誌「ニュー・リパブリック」のような進歩系メディアは、「米国は老年フェティッシュに陥った」という辛らつな批評まで出した。

ジェロントクラシーは米国だけのことではない。高齢化と平均寿命の延伸がもたらした避けられない面も排除できない。問題は、若い世代に自身の知識と経験を伝え、高齢者の権益を保護して老人貧困を解決するといった肯定的な意味の「シニア・ポリティックス(senior politics)」は消え、ごく少数の既得権高齢者の議題だけ過度に代表される姿が現れるところにある。以前、階層移動のはしごに乗って「出世」した中高年層が、若いザリガニ、フナ、カエルが上るはしごを片づけることを直接・間接的に助けたり、傍観しているという意味だ。

 

世論調査会社ピュー・リサーチ・センターによると、米国内のZ世代(1997~2012年出生者)の半数が、「昨年、新型コロナウイルスで失職したり給与が減った」と強調した。ミレニアル世代(1981~96年生まれ)の40%も加勢した。ベビーブーム世代(46~64年生まれ)の25%とは対照的だ。それでも、有名な高齢政治家の中で青年失業対策を打ち出す人を見つけることは容易ではない。

2日、マコーネル氏とペロシ氏の自宅には「私の金はどこ」、「2千ドル」と書かれた落書きや豚の血が置かれた。上院多数党の共和党が昨年12月29日、新型コロナウイルスの現金給付額を当初両党が合意した600ドルから2千ドルに増やすことを阻止したことを受け、一部市民が両党代表の自宅に押し寄せたのだ。

 

偶然にも2人は財産がそれぞれ2500万ドル、5800万ドルと推定される議会内の代表的な資産家だ。議会入りの時期も、1985年、1987年と似ている。金のために政治家の自宅を損壊したことは批判を受けて当然だが、米社会全般に「党籍に関係なく30、40年間、中央政界で贅沢三昧した人々が、前代未聞の感染症で苦しむ庶民の心情をどうやって分かるのか」という怒りがあることは明らかなようだ。

高齢者中心の権力構造は、その特性上、世代葛藤や格差の深化、国家競争力の弱体化などにつながることが多い。米国でも2020年基準、すでにミレニアル世代の人口は7212万人で、ベビーブーマー(6956万人)を追い越したが、経済権力もベビーブーム世代が握っている。現在、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の500大企業の最高経営責任者(CEO)の平均年齢は58歳で、2006年より15歳上がった。20年前の米全体労働人口の15%を占めた55歳以上の労働者の割合も30%に増加した。欧米先進国のうち国家負債、若者の失業率、個人所得の減少率が最も高いイタリア、一時米国と共に世界をリードした旧ソ連の没落もまた、それぞれ2000年代、1980年代に高齢指導者が執権した影響と見る見方が少なくない。

2015年に44歳で最高権力者となったカナダのトルドー首相は当時、男女同数内閣を発足し、「今は2015年だから」と理由づけた。老いた社会を変えることより至急なことはないというトルドー氏の教訓は今も有効だ。一国家だけのことではないだろう。


河貞敏 dew@donga.com