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食糧難に苦しむニューヨークに「フリー冷蔵庫」登場

食糧難に苦しむニューヨークに「フリー冷蔵庫」登場

Posted July. 14, 2020 08:34,   

Updated July. 14, 2020 08:34

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12日(現地時間)昼、米ニューヨーク市ブルックリンのある住宅街。「フリーフード」と書かれた札が貼られた冷蔵庫が路上に置かれていた。ある老人が車から降りてトランクを開け、箱からパンやヨーグルト、ジェリーなど食べ物が入った弁当セットを冷蔵庫に運び始めた。この冷蔵庫は、貧しい人々が必要な時に食べ物を持っていけるように置かれ、この老人は食料を寄付しにやって来たのだ。

ジムという名前の老人は、「普段から軍隊や病院、刑務所で人を助けている。パンデミック(大流行)の状況で、このように食料を分け合うことは非常に良いアイディア」と話した。実際に数分後、ある若い女性が冷蔵庫を開け、ヨーグルトを1パック取り出した。アデルという名前のこのロシア系移民は、「1週間に2~3回来て、食べ物を持っていく。仕事もなく生活が苦しい時にこのような所があってよかった」と話した。

このようにフリーフードに依存して暮らしているニューヨークの住民が増えている。米最大都市であり華やかさの代名詞とされたニューヨークが体験している最悪の経済難を反映している。

市民団体とニューヨーク住民が自発的に作ったこの「コミュニティ・フリッジ(冷蔵庫)」は、ブルックリンをはじめプロンクス、マンハッタン北部のハーレムなど低所得層や黒人が多く暮らすところに10台ほど置かれている。2月、ある住民が寄付する食料を入れる冷蔵庫を用意したが、あまりにも大きくて家に入れることができず、家の外に置いたのが始まり。その後、新型コロナウイルスの感染拡大で失業者が急増し、フリーフードの需要が増え、冷蔵庫も各地で生まれた。

このような姿は、最悪の食料難を経験しているニューヨークの惨憺たる現実を物語ると、地元メディアは分析する。ニューヨーク市の推算によると、現在市民4人に1人の200万人が食料不足に直面している。コロナ危機前(100万人)の2倍だ。ニューヨークでは、外出禁止措置初期の4月に、すでに4割近い親が子どもの食事量を減らしたり食事を抜いたりしているという調査結果が出た。米メディア「ザ・インターセプト」は、「地元のボランティア団体がどこかで食料を配布すれば、あっという間に住民たちが集まって数時間列をつくる。人々の数も毎週増えている」と伝えた。

 

ニューヨーク市は、市民が食事を抜かないようにするために総力を挙げている。「フード・ツァー(Food Czar・食料担当官)」という職責を新たに作り、市の全般的な危機対応管理を担っていた公務員を配給担当官に任命した。また、市全域に約400ヵ所の食料配給所を作り、一年中運営することにし、このために1億7千万ドルの緊急予算を編成した。フード・ツァーに任命されたキャサリン・ガルシア氏は、「ニューヨークでは誰も空腹にしないようにする。このような大規模な食料難に対応するのは、私たちの都市が、いや世界どこでも挑戦したことのない途方もない課題」と強調した。

食料難は、新型コロナウイルス蔓延の初期に被害が集中したニューヨークだけで起こる現象ではない。最近、ウイルスの感染が急速に拡大しているカリフォルニア、テキサス州などでも仕事を失った人たちが食料の配給を受けるために長い列を作る姿が目撃されている。ブルッキングス研究所は、新型コロナウイルスによって米全世帯の約2割が食糧難に苦しんでいると推算した。


兪載東 jarrett@donga.com